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まいどあり
プロローグ

[2]次話
 ──魔法──

 遥か昔に存在したその力は、あらゆる奇跡を起こす事が出来たと後の世に伝えられる。
 
 曰くその力は、乾いた不毛な大地にさえ無限の水という恵みをもたらした。
 曰くその力は、通年氷の消える事のない極寒の大地にさえ生きる温もりを生み出した。

 そして、その力は──

 ──人々に“破壊”という名の牙と、“争い”という名の混沌をもたらした。




 かつて奇跡と呼ばれた力があった。
 しかし、人類の歴史という名の記憶からも薄れる程の遠い遠い昔の出来事。
 何時しか“奇跡”は失われ、人々は自らの頭脳と肉体のみでの生活を余儀なくされる。

 人々は、乾いた不毛な大地に生きる歳、飢餓に苦しむ日々を送った。
 人々は、通年氷の消える事のない極寒の大地に生きる際、凍える寒さに震える日々を送った。

 そして、人々は──

 ──無慈悲に命を刈り取る“奇跡”という名の“破壊”の力に晒される事無く、生物としての生活を享受した。




 ──“魔石”の発見と、“魔道具”の発明。
 人の世に再び“奇跡”が現れるまでは──




 今では人々は、乾いた不毛な大地でさえ、生き抜く事が出来る。
 今では人々は、通年氷の消える事のない極寒の大地にさえ、生き抜く事が出来る。

 世界中に溢れた力は、沢山の人々に恩恵をもたらし、様々な苦しみを取り払い幸福感を与えた。
 奇跡による力は、今までとは比べ物にならない程の人々を救い、大地に生きる生物の大半を人間とする程にその命を救った。

 


 しかし歴史は繰り返す。



 増えすぎた個体を減らす事。さながらそれが自然界の摂理とでも言うように。

 人の世に現れた“奇跡”は──



 ──人々に“破壊”という名の牙と、“争い”という名の混沌をもたらした──   
[2]次話


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