3部分:第三章
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第三章
「よいな。そして若くなったその力でだ」
「世を正せと」
「そうなのですね」
「あの無防備とか何とかいうものはまやかしでしかない」
明王は何故かそうした存在を知っていた。
「我は明王、不動明王である」
彼自身がどういった存在であるかも語るのだった。
「この世の全ての悪を調伏する存在だ」
「では私も」
「そうするというのですね」
「そうだ。その為にもそなた達にはだ」
どうするかというのである。
「若返りそしてこの世の悪を調伏するのだ。いいな」
「若返ってですか」
「そうして」
「では」
早速であった。明王は左手を前に出して掲げてきた。するとそれで二人は光に包まれてだった。見る見るうちに若返ったのであった。
それは二十の頃の二人であった。服はそのままだが外見は一変していた。背筋も二十の頃のものになり背も高くなっていた。そして身体つきも見事なものになり肌もつやつやとしたものになった。
そのお互いの姿を見てだ。お爺さんとお婆さんは言い合った。
「婆さん、その姿は」
「お爺さんも」
そこにいたのはまさに結婚したばかりのお互いであったのである。
「本当に若返って」
「何とまあ」
「その取り戻した若さで世を正すのだ」
明王はその二人に告げた。
「よいな、それではだ」
「はい、それでは」
「今から」
「悪は正されるべきもの」
明王ならではの言葉だった。
「よいな。それではだ」
「わかりました」
「そうさせてもらいます」
「しかと頼んだ」
明王はここまで話してそのうえで姿を消した。そして後に残った二人は顔を見合わせてだ。そのうえで誓い合うのであった。
「それなら」
「はい、やりましょう」
こうして二人はすぐに動いた。まずは街に出てだ。
ゴミ拾いをしてコンビニの前の駐車場でだべっている若者達に注意をするのであった。
「こらこら、そんなところで遊んでいないで」
「少しは真面目に死なさい」
「ああ!?何だこいつ等」
「若しかして説教してるわけ?」
若者達はこう二人に返した。それぞれ地べたに座ったり店のガラスのところにもたれたりしている。如何にもガラが悪そうである。
「ったくよ。うざいな」
「あっち行けよ、あっち」
「そうだよ」
「そういう訳にもいかん」
「まずは周りを掃除して」
周りには彼等が食べ散らかしたり飲んだ後のゴミが散らばっていた.実に汚い。
「それからじゃ」
「すぐにやりなさい」
「はぁ!?何だよ爺みたいな喋り方してよ」
「だからうざいんだよ」
「やるぞ、こら」
言いながらだった。不良達は立ち上がり二人に向かう。だが二人はあまりにも強かった。その彼等を瞬く間に蹴散らしてしまったのである。
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