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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
語り語られ
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「……まだSAOが開始して、本当に間もない頃じゃ。時期的には一層が攻略され、二層へと乗り出した辺りじゃろうな。詳しい死亡状況が知れたらいいのじゃが、なにぶん時期が時期じゃ。現実世界での混乱に、内部で死んだ二千人の中に埋もれて、踏み込んだことは分からんかった」
「じゃ、じゃあ、ファル……初代は?」
「そちらもだいたい当たりは付けておる。死亡した地点はアインクラッド第六層の南東――――」
「夕陽……峠……」
呆然と呟く蓮に、重國は重々しく頷く。
「死亡時間も、死亡した時近くにいたアバター名も合致しておる。……間違いなく、初代《災禍の鎧》が散った時刻じゃ」
「………………」
とっさに二の句が継げなくなり、小日向蓮は押し黙った。
何か得体の知れないものが、背筋を這いまわる。
根本から間違っていたのではないか。自分はとんでもない勘違いをしているのではないか。そんな疑問が鎌首をもたげる。
「……シゲさんは、僕が見たフェイバルが幽霊だったとでも言うの?」
「幽霊……幽霊、か。そうだのぉ」
老人はしばし、高そうな煙管から立ち昇る紫煙を燻らせていたが、唐突に口を開いた。
「おそらく、SAOに入る前の儂だったならば、その質問は鼻で嗤って否定していたじゃろう。幽霊などいる訳がない。あんなものは人が都合良く言い訳を押し付けるためだけに生み出した虚像だ、とな」
だが、とそこで重國は言葉を挟む。
「今は違う。あの世界で目の当たりにした《心意》の力。人の持つ意思という見えないが大きな力を見、そして使った今ならば、同じ人の意思から生まれた幽霊も信じられるかもしれん」
「………………」
「気持ちは分かる。儂もずっとヤツの正体について考えていた。じゃが、いくら考えても妄想レベルの陳腐な推測しか出ずに、最後まで見通せなかった」
「……………そっか」
この老人は、たぶん嘘はついていない。
あの城で
頭脳
(
ブレイン
)
とまで呼ばれた者がこうまで言うからには、おそらく自分には欠片ほども分かるまい。
だから。
「終わった、んだね……」
沢山の人が傷ついた。
幾つもの涙が流された。
どうしても救えなかったものもある。
まだ完全に理解しきれていないことだってたくさんある。
だけど。
とりあえず。
そんな曖昧で、なあなあで、誤魔化し誤魔化しで。
余韻なんて、欠片も湧いてこないけれど。
それでもとりあえず。
今回の一件は――――終わった。
少しだけ張っていた肩をなで下ろし、車椅子の背もたれに体重を預けた少年に苦笑のような笑みを投げかけた老人は、枯れ木の間を風が通り抜けるように軽く笑い声を上げた。
「くく、まだ
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