暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
語り語られ
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ない。
陽の光さえも数段落ちたような錯覚をする中、老人は言う。
「そんな存在は――――いなかった」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
理解が遅れている、という訳ではない。脳そのものが理解することを拒んでいる。
「いな、かった……ってどういうこと、なの?シゲさん」
どうにか絞り出した言葉も、どこか現実味がないようにふわふわしている。
重國自身もまだ完全に分かっていないように、厳しい顔を崩さない。《六王》の
頭脳
(
ブレイン
)
とまで呼ばれたこの老人が、だ。
「いなかったというと若干語弊があるかもしれないのぅ。より正確に言えば、フェイバルはSAOから帰還していない、少なくとも現在政府が確認できている範囲では」
「帰還していない……?」
老人は重々しく頷く。そして、その判断に至った経緯を話し始めた。
「まず儂は、『フェイバル』のアバターネームでSAO
生還者
(
サバイバー
)
の検索を始めた。だがそんな名前のアバターを使っていた者は、そもそも最初からいなかったのじゃ。GGOから帰還した君の話がすぐに思い浮かんだよ。偽名じゃよ。何のためにそれを使いこなしていたかは定かではない……が、まぁ彼奴のことじゃ。どうせロクでもない理由に決まっておろう」
そこでいったん言葉を切り、老人は傍らに置いてある湯呑みに手を伸ばす。
「そして次に、『フラン』というアバターネーム。こっちは引っかかったのが一件。サフランというアバターネーム。2022年11月6日――――あの悪夢の日に儂等と同じくSAOの中に閉じ込められておる」
ずず、とお茶を飲む重國は、もう一方の手で手元にあった紙の束を放ってきた。
蓮がそれを見ると、どうやら最初にこの屋敷に来た時に渡されたのと同じ、履歴書をコピーしたようなものだ。だが直後、少年が硬直したのはそれがあまりにも最初に手渡されたものと同じだったからだった。
死亡診断書。
だが、真に問題なのはそこではない。
問題は日付。
小さな写真に写る小さな少女は――――
三年も前に死亡していた。
「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………ぁ?」
間抜けな音を吐き出す少年を尻目に、老人は地味な色の羽織を揺らす。
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