暁 〜小説投稿サイト〜
一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第二章―リンクス―
第17話?木ノ芽風と花風
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ここに来てるの?」
「ん〜、どれぐらい、か……結構な頻度で来てるぞ。少なくとも週に四回は来てるな」
「本当に結構来てるんだね」
「まーな。ここの飯うまいし。だから、ハマったら俺と同じようになると思うぜ、カグヤ」
?カイがニッと笑う。ここまで言うということは、よほどうまいんだろう。俄然興味が湧いてきた。期待値もぐぐっと上がる。
「カグヤ姉ちゃん、ごはんまだ〜?」
「もうちょっとかな。すぐ来るからね〜」
?地面に届かない足をバタバタさせるソラを優しい笑顔でカグヤがなだめる。本当の姉弟のようだ。見ていると、きっと向こうでも同じように昼食をとっているはずの僕の姉――夏菜姉ちゃんが頭をよぎった。元気にやってるんだろうか。
?焦燥感や悲しみが混じった何とも言えない気持ちになりそうになる心を切り替えるべく、後ろを振り向き、数ヶ所のテーブル席を見渡す。そして、思わずぎょっとする。全員……いや、全員とは言えないが、ほとんどのお客さんが僕たちの方を見ていたからだ。
?すぐにその理由を悟る。ここには、数少ない女性プレイヤーが二人もいるのだ。しかもどちらも負けず劣らずのド美人である。視線が集まらないわけがないのだ。
?特にアスナなんて《閃光》という二つ名までついている有名人だ。それは攻略組だけでなく、下の層にいるプレイヤーにも届いていることだろう。
?アスナの方を見ると、視線に気づいていないのか、そっちのけでお冷やに口をつけながらメニューをもう一度見ている。
「あんなの、気にするだけ無駄よ。もう慣れたわ」
?僕の視線に気づいたらしく、メニューから目を離し、僕の方を目だけ動かしてみながら、呟くように言う。
「そ、そうなんだ。何か、大変だね。女の子って……」
「別に。慣れたから、もう何でもないわ。気にしてたら何もできないし。多分、カグヤも一緒だと思うわ」
「……そっか。僕だったら絶対に気にしちゃうな」
?僕の言葉にアスナは少しだけ笑ったあと、またメニューに視線を戻す。
?女の子じゃなくてよかった、というよくわからないことを思っていると、ラドさんが料理を運んできた。本当に早かった。NPCと同じかそれ以上だ。
「おまちどおさま。他の客の分までつくってたから、少し遅くなった」
?何と僕たち以外の料理もつくってこの早さだという。料理の腕は相当なものだろう。
「ちゃんと男子の分は大盛りにしといたからな」
?腰に手を置いて、ラドさんがニッと笑う。ウインクも完璧に決まっていた。少し離れた位置に座るソラが嬉しそうに声を上げる。
?ラドさんの料理は、実際すごく美味しかった。僕の食事をする場所がひとつ増えた。

?昼ごはんを食べたあと、どこで遊ぼうか、という話になった。仮想の身体では、食べたあとすぐに動いても横腹が痛くなったりしないから、まったく問題ない。
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