第50話 別離
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旧幕府軍は、当初の予定通り新政府軍の追撃にも耐え、甲府城へと急いだ。その途中に銃撃隊及び弾左衛門の援軍と合流し戦力はなおも新政府軍には及ばないにしても、対抗できるとみんなが喜んだ。
「みんな、もう少しだ。頑張れ!!」
相変わらず、下を向きうなだれているような近藤の代わりに土方は自軍に、そして、自分にも喝をいれるように叫んだ。
みな、心身共に疲れ果ててはいたが、土方の声に呼応するかのように雄たけびをあげた。が、土方たちはその後、とんでもない光景を目にすることになった。
それは、すでに板垣退助率いる新政府軍がすでに甲府城を無血開城していた。甲府城は落とされていたのだった。
「やられた」
永倉は唇をかみしめその場に崩れ落ちた。誰もがその場に座り込みうなだれた。
「永倉君、作戦は失敗したが、こんなところでしゃがみこんでいる場合じゃないぞ」
土方だけが気丈にもその事実を早急に飲み込み、次の一手を考えようと頭を働かせていた。
「駄目ですよ。土方さん。すでに甲府は落ちていた。後ろには新政府軍の追撃隊が。そして、前には甲府軍がいます。挟み撃ちにあって全滅するだけです」
永倉は首を左右に振って涙声で答えた。
「あきらめては駄目だ。諦めたら本当にそうなるぞ。ともかく江戸を目指そう」
土方は永倉を抱き起こし、みなに状況を説明したのに、一刻も早く江戸を目指すことを伝えた。
甲州勝沼まで逃げおおせた土方たちだったが、ついに新政府軍に追いつかれ甲州勝沼で激突することになった。
永倉の作戦は、まず甲州街道を進撃してくる追撃隊を足止めするために木を切り倒し、砲台を追撃してくる新政府軍に向けて発射し敵をかく乱する。と同時に近藤・土方軍を突撃させる作戦だった。
が、この作戦ももろくも崩れ去ってしまった。
砲台は破壊され、甲府から来た新政府軍の援軍に挟み撃ちにされてしまったのである。
いかに近藤達に援軍があったとしても数も勝ることもできず、ただただ、隊は逃げ惑うことしかできなくなっていた。
(最早、これまでか)
近藤は土方を睨んだ。
「トシ、江戸にて援軍を呼んできてくれ。ここは俺が踏ん張る」
大混乱はしていても孤軍奮闘している土方を見つめ叫んだ。
「ばかな、これじゃ援軍を呼んでも間に合うわけなかろう」
土方は人を押しのけ切り倒し近藤の元へ急いだ。
「馬鹿野郎!!俺を誰だとおもっているんだ」
近藤は、近寄って来る土方を恫喝した。
「永倉君、原田、お前たちも行け!!」
その言葉に永倉と原田は驚きのあまり目を見開いた。
「やだ、俺は近藤さんと戦う」
原田の声は泣き声に変わっていた。そんな、原田に近藤はにこりと微笑んだ。
「近藤さん、あんた・・・・・・・」
永倉はその顔を見て愕然とした。
「俺は死な
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