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『八神はやて』は舞い降りた
第5章 汝平和を欲さば戦に備えよ
第43話 会議は踊る、されど進める
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 側近のシェムハザから報告を受けて、堕天使総督アザゼルは渋面を作った。
 先日、魔王サーゼクス主催のパーティーが禍の団に襲撃され、こっぴどくやられたらしいと聞いてはいた。同盟を結んだばかりとはいえ、殺し合いをした仲だ。
 ざまあないな、恩着せがましく支援の手を差し出してやろう。と、その程度に思っていたのだが。
 被害の詳細を聞くと青ざめた。竜王タンニーンを筆頭に親魔王派の悪魔たちが多数死傷したのだ。これでは、恩を売る、売らないの問題ではない。


「悪魔側の大失態ですね。いい気味です――総督? お加減が優れないようですが」
「ばかやろう! いい気味なもんか。駒王協定は三大勢力の力の均衡のもと締結した砂上の楼閣なんだぜ? いま悪魔陣営が弱体したらどうなると思う」
「……間違いなく主戦派が動き出しますね」


 くそったれがッ! 悪態をついてアザゼルは机をたたきつけた。嘲笑していたシェムハザも事態の深刻さを理解したのか厳しい表情をしている。


「事前にコカビエルたち主戦派の力を落としておいたとはいえ……こりゃあ、荒れるぜ」
「総督、主戦派の一部は禍の団に出奔しております。妙な動きをしないか監視を強化いたします。それと、中立派への根回しもお任せを」
「ありがとよ、シェムハザ。頼りになる側近を持てて幸せだぜ。だが、禍の団の情報はもっと手に入らねえのか?」
「光栄です。禍の団については天使陣営、悪魔陣営と情報を共有する方向で調整を進めています。しばしお待ちを」


 アザゼルは満足気に頷くと、事態の収拾に動き始める。





「――――以上が、被害の状況になります」
「先に報告は受けていたが、ひでえもんだな」
「悪魔側の警備はどうなっているのですか? むざむざ侵入を許すなどと」


 好き放題言われていますね。グレイフィアは思う。だが、仕方ないとも。
 悪魔側の被害は目を覆いたくなるほどだった。竜王タンニーンを失い、サーゼクスを支援していた上級悪魔を数名失った。これも痛いが、それ以上にサーゼクスを支持していた若手の革新派の中級悪魔を多数失ったのも痛い。政権内部の重鎮と将来の重鎮を一挙に失ったのだ。
 これを悪魔側の失態と言わずして何と言おう。


「アザゼルとミカエルの言はもっともだ。そして、二人からの支援に心から感謝する」


 魔王サーゼクス・ルシファーは深く頭を下げた。モニターの二人は一瞬目を丸くしたものの、無言で頷いた。そんな夫の姿をみて、グレイフィアは胸を痛める。
 襲撃を受けたとき、グレイフィアはアインハルトの放った衝撃波により運悪く負傷してしまったのだ。直接切り込まれるのを危惧した――正確には妻であるグレイフィアが襲われるのを――サーゼクスは、その場にとどまることを選
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