第一話 生まれてそして死ぬ君へ
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げて今度は俺の方からキスを贈る。総悟は驚いた表情を浮かべたがすぐに黙って目を閉じた。
総悟は知らないが、俺がこうして素直になる時は総悟の死が近い時だ。暫く会えなくなるのが悲しくて、また忘れられるのが辛くて、覚えていて欲しくて、総悟の魂にまるで自分を刻み込むように深く深く口付ける。
「んっ……ふ、ぁ……んん、は……」
大丈夫、また会えるからとでも言うように優しい動作で抱き締められて背中をさすられる。堪らなくなった俺は総悟の背中に腕を回して抱き締め返した。その間も、お互いの舌を絡め合うのはやめない。
飲み込みきれなかった唾液が垂れ、俺の喘ぎ声と水音が響く。一分近くが経ってようやく唇が離れた頃には息も絶え絶えで、生理的な涙に濡れた目でぼんやりと総悟の顔を見ると、明らかな情欲を宿して爛々と輝く肉食獣のような瞳と目が合った。
「煽ったアンタが悪いんでさァ」
抵抗する隙を与えずに押し倒され、いとも簡単に組み敷かれる。慌てて部屋のベッドを指差す。
「ま、待て、せめてベッドにしろ! 床は背中痛いんだよ!」
「フ、本当に今日は積極的ですねェ。良いですぜ、ベッドに行きやしょうか」
ふわっと身体が浮いたかと思えば所謂“お姫様抱っこ”の格好で運ばれて、ベッドの中心に丁寧に降ろされる。総悟は上着とTシャツを脱いで適当に床に放ると改めて覆い被さってきた。
細身だが無駄な脂肪がなく筋肉質な上半身が露わになり、気恥ずかしくなって顔を逸らす。
「こっち見て下せぇよ土方さん。今回はこれが最期なんでしょう?」
「……ッ!」
思いもよらない言葉に驚いて顔を上げると、何処か悲しそうな瞳で此方を見つめる総悟とバッチリ目が合った。
何で、どうしてだ総悟。死期を、そしてその合図を言った事なんてなかったのに。
「分かりますよ、アンタの事なら何でも。アンタは隠してるつもりだったんでしょうけど」
話しながらも優しい手付きだが性急に俺の服を上から順に脱がしていく。胸の突起にキスを落とした後、首筋に吸い付いた。
「ぁっ……総悟、ひぁ!」
くっきりと赤い痕が付くほどに吸われてピリピリとした刺激が走る。
「だから……手加減する余裕、ねェかもしれやせん」
首筋から顔を上げると、熱い息を吐きながら耳に唇を寄せて情欲が込もった声音で囁く。その声にますます煽られたが、大事な事を思い出した。
「ぁ……待て、その前に……」
先の行為に及ぼうとする総悟を制し、まっすぐにその瞳を見据える。するとやや不満そうにしながらも早く話すよう目で訴えてきた。
「総悟……死神は、本人に死期を悟られちゃいけねェ決まりがあるんだ。だから……このままだともう、お前の担当じゃいられねェ」
「なっ……そんなもん許す訳ねーだろィ!
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