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守られるよりも共に戦いたくて
守られるよりも共に戦いたくて
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[9] 最初
う俺の頬も負けないくらい熱かった。涙が出そうになったがそれはギリギリのところで堪える。
「……総悟、好きだ。あんまり言ってやれなくて悪ィ。その、あれだ……昔から素直になんのは苦手なんだ」
駄目だ。このままじゃ平静を保てない。
さっきまでの複雑で陰鬱な感情は土方さんの言葉ですっかり吹き飛び、今度は土方さんへの愛情で満たされる。
「土方さん……俺も。俺も大好きですぜ、アンタの事。アンタの言う通り勘違いしちまって……すいやせん」
「ッ……馬鹿なところもそっくりだな」
「どういう意味でィ」
「昔のお前も馬鹿だったんだよ……そんな所も好きだけどな」
嗚呼、畜生……もう我慢できねェ??
堪らなくなって少しだけ身体を離すと強引に口付けた。そのまま勢い良く押し倒して両手首を掴んで組み敷く。
「ぁっ……!」
しまった、という顔をして小さく声を上げた土方さんがのしかかっている俺を不安そうに見上げる。何回ヤっても情事に慣れない土方さんは、押し倒した時はいつもそうだ。
「ま、まだ話したい事が残ってる! だから盛んのはもう少し後に……」
「何でィ、早く話しなせぇ。嘘だったら承知しやせんぜ」
「嘘じゃねェ。あのな、俺は太刀だが……俺自身も単独で戦えるんだ。それくらいの力はある。お前は……どっちの方が良い? 俺“が”戦うのと、俺“で”戦うのは」
土方さんは不安そうな表情から真剣な表情に戻り、淡々と語るとそう問いかけてきた。俺はそれに迷う事なく答える。

「勿論、アンタで戦いたい。アンタを守るんならまだしも、アンタに一方的に守られるなんて死んでも御免被らァ。アンタと一緒に戦いてェんですよ俺は」

「俺もお前に守られるなんて真っ平御免だわ。フッ、全く同じ事言うんだな、やっぱり総悟は総悟だ」
「同じ事?」
「九代目にも最初に聞いたんだ。そしたら全く同じ答えが返ってきた。お前はいつまでもそのままでいろ、総悟」
「フ、了解」
もう良いですよね、と土方さんの答えを聞くより早く深く口付けて着流しの衿から手を差し込んだ。






守られるよりも共に戦いたくて






俺はずっとこの人を手にしていよう。生まれ変わりなんてもんがあるのなら、何回でも、何百年でも生まれ変わってこの人のたった一人の主且つ恋人で在りたい。そして何回でも同じ戦場にいたい。


END.

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