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歌集「春雪花」
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 言の葉の

  想い届かず

   溜め息を

 吐きてや眺めし

     白む山里



 こうして歌を詠んでいても、彼へと想いが届くことはない…。

 幾つも歌を詠み耽るうちに…空がうっすらと明るくなり始め、私はそんな彼のいない山里を眺めるしかないのだ…。

 ただただ…溜め息しか出ないものだ…。



 春の夜の

  夢もなかりて

   長らえる

 命も虚し

    有明けの月



 春の夜は短い…夢さえ見たか見ないか分からないうちに朝が来てしまう…。

 そんな短い夢でも良いから…彼に想われたいと願ってしまうが、それはあり得ないこと…。

 ならば…この命が長らえたとしても虚しいだけだ…。

 見れば山の端に有明の月が浮かぶ…今にも消えてしまいそうな儚げな月を、私はいつまでも眺めていた…。




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