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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
閑話T 巧の中学生活
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代の子供と遊んだ経験がない。それに娯楽の情報もない。囲碁や将棋なら戦略を学ぶついでの遊戯ということで良く父親や柳田と打っていたが、周りの子供で好きな人はいなかった。巧には中学生らしい青春の送り方が分らなかったのである。

そして『遠田の御曹司』という肩書も厄介だった。
クラスや同じ学年の女子はともかく、巧に告白する上級生や下級生の女子の多くは玉の輿を狙っている。遠田技研の跡取りともなれば徴兵免除を受けることができるし、上手くいけば華の帝都で優雅に暮らせる。それに最近の噂で、女性の徴兵制も始まるのではないかというものがあった。徴兵制が再開し、中学校の教師も男性は50を超え、体力的に兵役をこなせないと判断された教師ばかり。ほとんどが女性であった。男子の徴兵年齢も引き下げが始まり、18歳には徴兵されている。このままいけばうわさ通り女性の徴兵も始まるだろう。しかし結婚してしまえばその兵役を逃れることができる。

そんな打算が透けて見えるのだ。今日告白してきた東條という上級生もそうだった。告白された時、ためしに言ってみたのだ。

『うん、いいよ。』
『ほ、本当!?やったぁ。私前からあなたのことが気になっていたの。』
『そうなんだ、ありがとう。あ、でも俺再来年から訓練校だから…どうしようか。』
『えっ!?なっ、なんで遠田君が訓練校に行くの?』
『今は世界が大変な時だしね。帝国の人間として役に立ちたいんだ。だから二年後にはあまり会えなくなるけど、待っていてくれる?』
『ふ、ふーん…そうなんだ。うーんどうしよう…。』
『俺のこと好きなんだよね?』
『も、も、も、もちろんよ!で、でもやっぱり会えないのは寂しいわ。遠田君にもやりたいことがあるみたいだし…。』
『………。』
『ご、ごめんなさい!やっぱりこの話はなかったことにしましょう。勘違いしないでね!?あなたのことは好きなの!でも〜〜〜〜〜』

その後、長い言い訳をして東條は去っていった。
そんなことがあるとやはり告白をされても受けられないし、巧もやはり好きな人と付き合いたい。難しいお年頃なのだ。

そんな巧だったが、長い長い冬を越えて春がやってきた。
恋をしたのである。
巧の初恋の相手、その女子の名前は


『香月夕呼』。


数十年に一人の才媛と噂され、帝都大にもその名を知られる天才美少女だった。

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巧が夕呼の名前を知ったのは実は入学して直ぐの実力テストの結果発表のときからだった。中学一年が受ける実力テストなど巧にとっては簡単なもので、全教科満点だった。しかし巧の他にも全教科満点を取った生徒がいるらしく、巧の成績は同点一位。その時初めて巧は夕呼の名前を知った。しかし
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