第2章:埋もれし過去の産物
第43話「また会う日まで」
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いては特別心配しているみたいね。
「どうして...どうして、こんな結末になったんだろうね...。」
「...分からないわよ!...分かる訳、ないでしょ...!」
あの時、あの場所で、現場にいた誰も悪くはない。
誰かが悪いと、強いて言うのであれば、それは緋雪をあの状態になってしまうようにした、古代ベルカの研究者達だろう。
...でも、そんな人間はとっくに死んでいる。
だから、誰かが悪い訳でもない。
だからこそ、それがもどかしい。やるせない。...納得、できない...!
「それに、優輝は私達みたいに“緋雪が死んだ”という事で悲しみを感じているだけじゃないのよ...!...あの子を、殺した罪悪感まで背負いこんで...!」
「っ...本当、“辛い”で済まされないだろうね...助けようと思った相手を、殺すしかないなんて、誰だって経験はおろか、想像もしたくないもん。」
私達も幾度となく“別れ”を経験してきた。
もちろん、悲しみもあったし、葵の時みたいに絶望したくなった時もあった。
それを、私達は乗り越えてきた。
...でも、それはひとえに私達が人為らざる者だったが故の、人とは違う感性を持っていたからこそできた事。
...生まれ変わっても人には変わりない優輝は....。
「(...ううん、落ち込んでばかりはダメよ!あの日、あの時、優輝と緋雪は見ず知らずの私を助けてくれた。...なら、その恩に報いるぐらいはしなくちゃダメよ!)」
暗い考えを一度頭を振って振り払う。
「....とりあえず、今日の夕餉は私達が作りましょう。」
「...優ちゃん、疲れてるもんね...。」
優輝がどんな思いをしているのか、それは本人にしか分からないわ。
だから、私達にはこういう生活面での支えぐらいにしかなれない。
「...それと、士郎にこの事を伝えておくわ。」
「......いいの?そんな事して。」
確かに、魔法どころか陰陽の力も使えない彼に伝えるのはおかしいと思うわね。
...けど、そうやって私達だけで秘密にしていても...ね。
「どの道、緋雪が死んだ事は隠し通せないわ。なら、いっその事私達が覚えてる範囲だけでも伝えておこうと思うのよ。...士郎なら、色々と配慮してくれると思うわ。」
魔法を知っている彼なら緋雪が死んだ事実を分かってくれるはず。
それに、緋雪が死んだ事について公になる時、情報を操作してくれそうだし..ね。
「...夕餉まで時間はあるわ。今の内に伝えに行ってくるわね。」
「うん。分かった。...あたしは優ちゃんの様子を見ておくね。」
葵も時と場所を弁えているので、ふざけたりは
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