第2章:埋もれし過去の産物
第43話「また会う日まで」
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
...唯一救いがあったとすれば...。
「(...緋雪は...シュネーの“心”は...救えた....。)」
不幸なまま、死なせずに済んだという事だけだろう。
「........ごめん、気分が悪い。...寝てくる。」
「...ええ。そうした方がいいわ。...今の貴方は、あまりにも儚く見えるわ。」
体とリンカーコアも痛い。椿と葵も心配してくれた。
...今はただ、少しでもこの悲しみを忘れたかった。
=椿side=
「...優輝....。」
覚束ない足取りで寝室へと向かう優輝を、私は見ていられなかった。
「(...私達は、おそらくこの事を忘れてはいけないと思って、緋雪に関する事の記憶は封印しなかった。...もちろん、封印した事は一切覚えてないから、どういう経緯でそうなったのか、私達には結局分からないのだけど....。)」
それでも、これは、あまりにも...。
「私達は、優輝の心の支えになれるよう、中途半端に記憶を残したのに、こんなんじゃ、むしろ封印しなければ...。」
「...でも、そうしようと決めたのは、記憶を封印する前のあたし達だよ?」
記憶がそのままであれば、何が起きていたのか全て理解でき、今味わっている心に空いた穴のような虚無感はなかっただろう。
「....もどかしい。中途半端にしか思い出せないのが。...心の支えになろうと思っていたのに、これでは支えになれない私自身が、もどかしいわ...!」
「本当だよ。....どうして、世の中こんなやるせない事ばかりなんだろう...。」
いつもは素直になれない私が、無駄にはっちゃけてる葵が、そんな雰囲気を感じさせない程に心に傷を負っているのが、自分でも分かる。
「...幾度となく、同胞の式姫たちと別れてきたけど、今回のは....。」
「皆の時は、幽世に還るだけだっただもんね。...でも...。」
幽世に還るのと、死ぬのは別。
私達式姫は、普通に殺されても幽世に還るだけ。
...まぁ、それでも死に別れみたいだから葵の時は絶望しかけたのだけど...。
それでも、幽世に還れば、また会う事はできる。
...だけど、死ぬのは違う。ましてや、それが人間ならば。
死んだ場合は、魂が輪廻の輪に還り、そして生まれ変わる。
...そこに、再会の余地なんて...ない。
「...たった数ヶ月触れ合った私達でさえ、ここまで悲壮感があるのよ。...ずっと...それこそ、前世からの付き合いもあった優輝は、一体どれほどの...!」
...好きな相手だからか、余計にそれが心配になる。
葵も、その点にお
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ