第2章:埋もれし過去の産物
第43話「また会う日まで」
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うだn....っ!?」
そっと、彼女は僕に近寄り、頬に柔らかい感触を与えた。
「..ぇ....?」
「貴方の...いえ、あなた達の想い...私は忘れません。」
...僕が何をされたか思考停止して分からないのを余所に、ほんのりと顔を赤くしたユーリはそう言ってディアーチェ達の下に歩いて行った。
周りも驚いて固まっている。...エイミィさんはなんか興奮してるけど。
「....はっ!じゃ、じゃあ、行きますよ!」
なんとか我に返ったアミティエさんが時間を移動するための装置(?)を使う。
その瞬間、僕らの意識は一瞬暗転した。
「.....あれ....?」
失っていた意識が戻る。視界に広がるのは、いつもの居間。
「え...?あれ?さっきまで、一体...?」
今の今までしてきた事が上手く思い出せない。
周りを見ても、いるのは椿と葵と......
―――手に握られた、見覚えのあるカチューシャと服だけ。
「....!緋..雪....!」
思い出した。思い出してしまった。
今、ここには緋雪はいない。...僕が殺してしまったから。
「(細かくは思い出せない...けど、緋雪の...シュネーに関する事は...!)」
いっそのこと、全部忘れてた方が良かった。...そう思う自分もいる。
だけど、記憶を封印する事に同意している自分の記憶もあり、なによりも彼女を殺した事を忘れているなんて嫌だった。
「シュネー...!緋雪...!...うぅ...うぁああああああああああ!!!!!!」
一気に悲しみが膨れ上がり、僕は涙を流しながら叫んだ。
...きっと、さっきまでも随分と悲しみを堪えていたのだろう。
それほどまでに、僕は悲しさに心が壊れそうだった。
「っ......。」
「優ちゃん....。」
後ろで椿と葵が心配そうに僕を見てくる。
...二人共ごめん。...今は、泣かせてくれ....!
「(...事件の内容は、思い出せない。...だけど、僕がムートとして、緋雪がシュネーとして目覚め、そして殺し合ったのは覚えている。....最終的に、生かす事もできず、殺すしか...なかった事も...!)」
全てを思い出せない僕自身に腹が立つ。
...でも、それ以上に無力感と悲しさに打ちひしがれた。
「(.....司さんの言っていた“嫌な予感”は、これの事だったんだ...!僕と、緋雪が殺し合って...緋雪がいなくなるっていう...!)」
後悔先に立たずとは、まさにこれの事だ。今更悔やんでも、何もかも遅い。
...でも、それでも
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