百二 巫女の予言
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苑がいた場所で白煙が立ち上る。掴まれた手首を振り解き、後方へ飛退いたクスナは目の前の少年――ナルトをじっと見据えた。ナルトから得体の知らない何かを感じ取って、クスナはごくりと生唾を呑み込む。
正直、この少年とは闘いたくないとクスナは本能で悟っていた。
わざと人目につかない場所を訊いたナルトは、紫苑と足穂には安全な場所で身を潜めてもらい、自身は彼らに成りすまして敵の接触を待っていたのだ。
変化させた影分身が白煙と化すのをよそに、ナルトは轟々と唸る滝を背に、クスナと対峙する。激しい水音が響く中、彼は沈黙するクスナの眼を覗き込んだ。
「…お前は誰の許で動いている?」
「……ッ!」
何の気もないナルトの問い掛けは、クスナを動揺させる。脳裏に過ったのは黄泉の姿だが、その中には【魍魎】がいる。どちらが己の主人なのか、一瞬判別がつかなくなったクスナは、その迷いを断ち切るように頭を振った。
クスナの心中の迷いを敏感にも感じ取ったナルトは、暫し思案顔で相手を眺める。ふと、こちらへ近づいてくる三つの気配と、二つの気配を彼は正確に読み取った。
その内、仲間たる二人がチャクラを激しく消耗しているのを察し、これ以上闘いを長引かせるわけにはいかないと悟る。
膠着状態。警戒心を露に動かぬクスナを前に、ナルトは軽く首を傾げてみせた。
「…今回はここまでにしておいたら?」
「…逃がす、というのか!?何故、」
クスナの当然の疑問には答えず、ナルトは頭上を仰いだ。
「君のお仲間も来ているようだしね」
「……ッ、」
ナルトよりやや遅れて、セツナ達の気配を感じたクスナは訝しげに眉を顰めた。怪訝な顔をしながらも、館の屋根の上まで跳躍する。
途端、鉢合わせしたセツナ達に、クスナは「…一端、退却するぞ」と一言告げた。
急な撤退発言に不審げな顔をしたセツナ達だが、後ろから迫り来る白と君麻呂に気づくと、すぐさま踵を返す。
館の周りを取り囲む断崖へ飛び移り、そのまま立ち去ってゆく四人の気配が完全に遠ざかっていくのを確認しながら、ナルトは白と君麻呂がこちらへ来るのを待った。
「申し訳ございません、ナルト様…」
「取り逃がしてしまいました…」
ナルトの許へ駆け寄るや否や、君麻呂と白が深々と頭を垂れる。それをすぐさま上げるように仕向けて、ナルトは詳細を聞きつつ、二人が闘った前庭へ向かった。
『暁』の要請に応えるや否や、ナルトがまず行った事柄は白と君麻呂を鬼の国へ向かわせる事だった。妖魔【魍魎】を封じる地下神殿がある遺跡。
しかしながら白と君麻呂が其処へ辿り着いた時には、既に【魍魎】は復活した後だった。
その旨を【念華微笑】の術で伝えた白と君麻呂はすぐさまナルトへ指示を仰ぐ。そこで砦付近の結界及び、遺跡周囲に【狐狸心中の
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