百二 巫女の予言
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掛かった。だが、その瞬間。
「「――――遅いっ!!」」
敏捷な動きでその打撃を受け止めた君麻呂が、逆にギタイへ攻撃を仕掛けた。同時に白が素早く印を結び、周囲に鏡を展開させる。
既に地を蹴っていたクスナ一人だけがその場を逃れたが、残り三人は白の鏡の包囲網に囚われた。
「なんだ、これは…!?」
「鏡…ッ!?」
セツナとシズクが驚愕する一方、君麻呂に吹き飛ばされたギタイが困惑の表情を浮かべる。
「アンタ…あちきの怪力に耐えるほど硬いでありんすか?」
勢いを削がれたとは言え、君麻呂への打撃は確かに届いていた。だが君麻呂は平然とギタイの拳を受け止め、その上何かで吹き飛ばしたのだ。
不意に、鉄の味がして、ギタイは頬を拭う。その時初めて己の頬に切り傷がある事にギタイは気づいた。
実際、君麻呂は骨を用いてギタイを弾き飛ばしたのだが、そのような事実ギタイが知る由も無い。
苛立たしげに君麻呂を睨んだギタイに間髪容れず襲い来るのは、数多の千本。周囲の鏡から飛び出してくる千本の鋭い先端を目に留めて、セツナがチッと舌打ちした。
「油断するな!こいつら、できる!!」
舞っているかのような優雅な動きで相手を翻弄する君麻呂と、何処から来るか判らぬ白の鏡からの攻撃。回避の連続で徐々に疲労が溜まってきた三人は、互いに視線で合図を交わした。
「シズク・ギタイ、土・火・風の連携術だ!」
「あ〜い〜…―――【土遁・土回廊】!!」
セツナが号令した途端、ギタイが巨大な拳を地へ叩きつけた。やがて辺りが揺れ始めたかと思うと、地面から巨大な岩が迫り上がってくる。地鳴りと共に、白と君麻呂の頭上を無数の岩が覆い尽くし、まるで土で出来た回廊の如く二人を閉じ込めた。
【土回廊】唯一の出口を前に、シズクがくすくすと忍び笑う。
術者たる白が【土回廊】に閉じ込められたので、セツナ達を包囲していた鏡が消えてゆく。
それを確認してから、次いでシズクは片足で爪先立ちをした。そのまま片足で回転しつつ、印を結ぶ。するとやがて高速回転するシズクを取り囲むように、大きな火の輪が生まれた。
「【火遁・火走り】!!」
シズクが大きく仰け反るや否や、火の輪が【土回廊】の出口目掛けて突き進む。緩やかな動きで【土回廊】中へ入って来た火の輪を目にし、出口に向かっていた白と君麻呂が顔を顰めた。
同時に、回廊外から聞こえるセツナの声。
「【風遁・神颪】!!」
シズクに続いて印を結んだセツナから放たれた旋風。当初小さかったソレは次第に勢いを増し、【土回廊】内部を吹き抜けた。当然、先ほどシズクが【火遁・火走り】の火の輪に追いつく。
すると一見あまり大した威力が無さそうな火の輪が一変した。旋風に煽られ、火勢が強まった火の輪は忽ち大きく膨れ上がり、巨大な炎と化す。そ
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