後日談
CASE Everyone After Days
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さんが兄さんでいてくれれば、わたしにはそれだけでいいの」
―CASE3 Kota&Yuya―
中心街のフリーステージで、色とりどりのチームユニフォームを着た若者たちが踊っている。
裕也はそれをひどく微笑ましい気持ちで観覧していた。――ベンチで隣に座る絋汰と共に。
ビートライダーズからチームの壁は消えたが、垣根程度の仲間意識は残っている。よって裕也は、チーム鎧武の代表を、チーム発足時からのメンバーであるチャッキーに任せて一線から退いた。
ダンスが終わった。ステージのすぐ近くで立ち見していた観客が歓声を上げている。
「にしてもやっぱ違和感あるなあ。裕也の髪が黒いの」
ユグドラシル・コーポレーションが解体されて働き口を失った今、裕也は地道に就職活動に勤しんでいる身だ。
「しゃーない。さすがにブリーチかけたまんま採用面接は受けらんねえって」
裕也は飲み干したコーヒー缶を、よっ、とゴミ入れに投げた。缶は放物線を描いてゴミ入れに見事落ちた。
「そういうお前こそ。仕事見つかりそうか?」
「正社員はやっぱ募集が少ねえよ。まだまだフリーター生活、続きそうだ」
対外的な生活で一番変化が少ないのが絋汰かもしれない、と裕也は考える。坂東の“ドルーパーズ”でのウェイターを中心に、夜間警備員や新聞配達などで収入を得て、姉・晶と慎ましく生活する絋汰は、余人に言わせれば「元の生活に戻った」ことになるのだろう。
だからとて、絋汰が初めて戦極ドライバーを手にしてから悩み抜き、考え抜いたことがなくなったわけではない。
この沢芽市を、人類を、世界を脅かさんとする悪意が現れた時、絋汰は迷うことなく戦極ドライバーを手にアーマードライダー鎧武として立ち上がるだろう。例えば今、ユグドラシルから漏えいした戦極ドライバーやロックシードを回収すべく世界中を飛び回る貴虎のように。
そしてその時が来れば、直情径行の絋汰と他者のためにあっさり身をなげうつ貴虎のブレーキ役として、裕也も量産型ドライバーとオリーブの錠前をまた掴むのだろう。
「さて、と。次の面接あるから、俺もう行くな? お前もバイトがんばれよ」
「ああ。いい結果になるよう祈ってるぜ」
――何者にもならなかった二人の男は、同時に立ち上がり、背中を向け合って歩き出した。
―CASE4 Hase&Jonouchi―
今日非番だから付き合ってよ。
そんな普通の友人のような城乃内の誘いに乗って、初瀬は今、“ドルーパーズ”のボックス席にいた。
(結局ここでトモとパフェ食ったことってなかったな)
イチゴパフェを適当につついていた手が止まった。食欲が失せた。初瀬はスプーンをグラ
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