第3章 リーザス陥落
第86話 一騎打ち
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ーツ》。ヘルマンの為に、祖国の為に」
清十郎の前に立つのは、ヘルマンの中隊長。
黒い兜を脱ぎ捨て、急所を晒す様な行為をし、巨大な剣、野太刀を構えた。
その姿を見た清十郎は、その男に武人としての誇りの高さも確かに見えた。
少なくとも、今までで最強の相手だという事も。
「面白い。……神無木清十郎、参る!」
「おおおおっっ!!!」
2人の男の気迫、そして 2本の剣とその長刀が交錯し、火花を生んだ。
退け続ければ、それを討たんとする強者も現れる。
「ヘルマン第3軍 大隊長 《ガイヤス・ヤスト》。……死神よ、お相手願う!!」
現れたのは、トーマの片腕、大隊長。
その腕の強さは、リック自身もよく知っている。心技体を兼ね備えた騎士であり、トーマに続き、その名は轟いているのだから。
「……赤将リック。我らが目指す場所、それはこの先にある。押し通らせてもらう!」
決して驕らない、人数で勝っているとは思わない。
隙を見せたら、一気に持っていかれるのは、長く戦場を経験しているリックには、痛い程判っているからだ。
「オオオオオオオオオッッ!!!! ヘルマンの為、トーマ将軍の為に!!」
「ウラアアアア!!!!」
赤い剣、バイロードが戦場に輝き、そして ガイヤスの愛刀《長光》が その気迫と共に、火花を散らせるのだった。
最前線を支える2人が、今までとは一味違う相手。強敵と相対した事は、ユーリにも感じられた。気迫が離れていても、伝わってくるからだ。
それは、味方のものだけじゃなく、敵側の方からもだ。
「(オレ達は、……何と戦ってる?)」
それは、ユーリが戦闘の最中に過ぎった疑問だった。
これまでは、紛れもなく侵略者を叩き出す為に戦い続けた。
相手は友の国を襲い、そして 現在では自国とも言える自由都市にまで攻め入ってきた。
敵国
それは、間違いなく敵だ。例え 友と呼べる者が、ヘルマン側にいたとしても、躊躇してはならない。すれば、迷えば、……大切な人が奪われ、踏み躙られ、蹂躙されるかもしれないのだから。
勝てば官軍の世の中。
世界一豊かとされてきたリーザス国では、長らく忘れられた事ではあるものの、世界の根幹は変わっていない。
そして、敗れたら最後。……悲惨な運命しか待っていないだろう。敵を称え、敗者に尊厳を、と一部で謳った所で、それが全員の意思疎通である訳がない。弱者が蹂躙され続ける姿は長らく見続けてきたのだから。平和な国だったリーザスでも、それは見続けてきたのだから。
だから、戦う事に戸惑い等はない。そんな隙を見せる程若輩者でもない。……大陸を渡り
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