第二十七話 デートじゃないのにその九
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「私が。誰と一緒にですか?」
「そりゃ決まってますよね」
考えているところでまた阿波野君が能天気に言ってきます。
「ねえお婆さん」
「あらあら、勘がいいわねえ」
二人でやけに盛り上がっています。
「いい子じゃない、本当に」
「いやあ、それ程でもありますよ」
またまた調子に乗っています。
「天理高校に入ってよかったなあなんて」
「千里ちゃんがねえ。天理高校に行くことになって」
話が私に関するものになりました。
「嬉しいのと一緒に随分寂しかったのよ」
「寂しかったんですか」
「そうよ」
こう言われると悲しいです。けれど私が天理高校を受験することはそれこそ物心ついた時から決まっていましたし。合格するかどうかは別として。
「あんたがいないと教会が寂しくてね」
「はあ」
「大学もこっちの受けるの?」
「はい、そのつもりです」
天理大学も受けるつもりです。合格するかどうかは別にしまして。
「天理大学に」
「専修科には行かないね」
「専修科は考えてないです」
「大学なの」
「そうなんです」
「それが千里ちゃんにはいいかもね」
そしてこう言われました。
「大学行くのがね」
「大学が合ってるんですか、私に」
「私はそう思うわ」
「僕もそう思います」
どういうわけかここで阿波野君も話に入ってきます。
「先輩には天理大学に行って欲しいですね」
「阿波野君もなの」
「ええ。それで詰所にいるんですよね」
「そうなるわね」
天理大学に入ったら。そんな話はもうお父さんやお母さんからも詰所の人達からも受けています。あそこで四年いさせてもらうかも知れません。
「多分だけれど」
「それがいいですよ。それだと何時でも先輩に会えますしね」
「会いたくないわよ」
速攻で言い返してやりました。
「あのね、何で大学に入っても君と会わないといけないのよ」
「嫌ですか?」
「迷惑よ」
言葉が自然と尖ってきているのが自分でもわかります。
「全く。同じ大教会所属っていうだけでも何でなの?なのに」
「あらあら、積極的な子だねえ」
またお婆さんが笑顔で言ってきました。
「これは将来楽しみだね」
「有り難うございます」
「有り難うって」
ここでお婆さんに御礼を言うその心理がわかりません。
「何でそこで有り難うなのよ」
「まあ気にしないで下さい」
「気にするわよ」
いつもいつも調子に乗って。ふざけるにも程があるます。
「ひょっとして大学まで来るつもりなの?」
「駄目ですか?」
「大学に来ても相手にしないからね」
「千里ちゃん、だからそういうのが駄目なのよ」
またここでお婆さんに言われます。心なしか私に対してよりも阿波野君に対しての方が優しいような気がします。気のせいでし
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