第二百五十三話 最後の合戦その一
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第二百五十三話 最後の合戦
壇ノ浦での合戦は続いていた、その中で。
魔界衆の軍勢は大砲と鉄砲で次々と倒され舟を沈められていく、だが老人は彼等に血走った目で言った。
「諦めるでない」
「はい、必ず」
「織田信長に近付き」
他の棟梁達が老人に応える、やはり血走った目で。
「そしてですな」
「そのうえで」
「織田信長を倒しましょう」
「何としても」
「そうじゃ、戦うのじゃ」
絶対にとだ、老人は彼等にまた言った。
「何としてもな」
「傀儡はこれ以上はないまでに出しました」
「我等の全力を出し」
「ならば、ですな」
「このまま」
「攻めよ」
幾ら倒されようとも、というのだ。
「よいな」
「はい、敵は四方八方にいます」
「では、ですな」
「その敵に手当たり次第に向かい」
「そして喰い破りましょうぞ」
「敵に囲まれたならじゃ」
それならというのだ。
「喰い破るのみじゃな」
「はい、まさに」
「それではですな」
「早くこの者達に喰らい付き」
「喰い破りましょうぞ」
「そうせよ」
老人は棟梁達にも他の魔界衆の者達にもだ。こう言うのだった。そして老若男女全ての魔界衆の者達がだった。
傀儡達と共に幕府の水軍に向かう、信長は彼等を囲んだままだった。
大砲と鉄砲に弓矢、炮烙で攻めさせていた。魔界衆の闇の舟は確かに沈んでいくが。
しかしだ、魔界衆はあくまで攻めて来る、それでだった。
信行がだ、平手に言って来た。
「兄上、大砲も鉄砲もです」
「弾がじゃな」
「あまりにも多く撃っていますので」
それで、というのだ。
「このままでは」
「尽きるか」
「その心配が出て来ました」
「ならばじゃ」
それならとだ、信長は信行のその言葉を受けても動じることなく答えた。
「尽きるまで撃て」
「そうしてよいのですな」
「魔界衆も最早な」
「あの数が限度ですか」
「数は尽きておる、だからな」
「こちらも」
「尽きるまで撃つのじゃ」
信長はさらに言った。
「炮烙も弓矢もな」
「全てですか」
「惜しむな、そして全て尽きれば」
「その時は」
「切り込め」
そうせよと言うのだった。
「その時にはもう魔界衆の者達は数を相当に減らし弱まっておる」
「そしてその切り込みをですか」
「止めとする、わかったな」
「では」
「尽きてもよい」
大砲や鉄砲の弾、炮烙も弓矢もというのだ。
「むしろ惜しんではならぬ」
「わかりました、さすれば」
「うむ、攻め続けるのじゃ」
信長はこう命じてだ、実際にだった。
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