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ドリトル先生北海道に行く
第八幕その四

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「方向音痴もね」
「うん、相変わらずなんだ」
「そうなんだね」
「地理のことはわかってもね」
 それでもというのです。
「僕は実際にその場所に自分で一人で行くとなるとね」
「方向音痴だからだね」
「中々すぐには行けないんだ」
 困ったことにです。
「そうなんだよ」
「だから僕達も一緒なんだ」
「先生って世事のことは本当に駄目だから」
「方向音痴だし」
「家事も全然出来ないしね」
 そうしたことは本当に駄目なのが先生なのです。
「だから僕達がフォローしているんだ」
「先生が苦手なことはね」
「先生苦手なことは本当に全然適性がないから」
「私達がいつも一緒なのよ」
「何処かに行く時も」
 まさに今の様な時もです。
「方向音痴の先生の為にね」
「誰かが一緒だけれど」
「今回はだね」
 今はと言う王子でした。
「僕が先生のフォローをするということだね」
「うん、つまりはね」
「そういうことだね」
「それじゃあね」
「今からそのアイヌの人達のところにね」
「行こうね」
「楽しみだね」
 その方向音痴でもある先生はにこにことしています。
「今から」
「そうだね、どんな人達かな」
「アイヌの人達って」
「北海道に昔からいる人達って」
「どんな人達かしら」
「お会いした時にわかるよ」
 これが先生のお返事でした。
「これからね」
「つまり百聞は一見に然ず」
「そういうことね」
「そうだよ、では行こうね」
 先生は真っ先にという感じでした、こうしたお話をしてそのうえでキャンピングカーは出発しました。そしてでした。
 皆でアイヌの人達の資料館に行きました、そこに行きますと。
 動物の皆が八条学園の博物館で見ていますがその目で実際に見たのははじめてのアイヌの人達の服を見て驚きの声をあげました。
「へえ、本当にね」
「アイヌの人達だね」
「アイヌの人達の服だね」
「ということは」
「はい、私はです」
 黒髪の奇麗な、アジア系の顔立ちの若い女の人です。黒地で縁のところが赤く柔ない感じの渦巻きの模様が描かれていて縁のない帽子も被っています。黒と白の横のストライブの帯でその服をちゃんと締めています。
 その女の人がです、先生ににこりとして言ってきたのです。
「アイヌです」
「君がだね」
「代々この土地で暮らしています」
「成程ね」
「それで大学を出てからです」
「この資料館で働いているんだ」
「この資料館は八条グループが運営していまして」 
 ここでもこのグループの名前が出てきました。
「私も勤務しています」
「じゃあ君の出身大学は」
「はい、八条大学です」
 にこりとその奇麗なお顔を綻ばせて先生にお話しました。
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