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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
4.SES計画V
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き、そして集大成の三年では集団戦での戦術である。BETAと戦うときはその圧倒的な物量に対して如何に戦うかが重要である。その際には多人数との戦闘経験がものを言う。一対一の強さと一体多数の強さとは別のものなのだ。それらの教えを巧は砂地に水を垂らすがごとくあっと言う間に吸収していった。
(惣一郎が言っていた通り…麒麟児、天才だ。)
柳田は誰よりも厳しく、丁寧に巧を指導した。はじめこそ友人である惣一郎の息子ということでやっていたが、しばらく鍛えているうちに巧自身の才能に惚れこんでいった。しかも子供であっても才能に溺れず弛まぬ修練を積んでいる。その力量は斯衛の戦士にも匹敵するかもしれない。
(SES計画か。馬鹿馬鹿しい計画だと思ったが…)
そして巧は更に二人を打ち破り、相手役の生徒たちはもうその数を半分に減らしていた。
(巧はきっとこの国をけん引する戦士になる。この出会いに感謝せねばな。)

残りが少なくなってきた生徒たちは無理に責めずに包囲し、巧の体力を削る作戦に出た。セコイ作戦ではあるが、一人に十人がかりで負けるよりはましである。包囲し、二人でかかって三人は隙を窺う。その作戦に巧は削られていく。
(このままだとやられるのは時間の問題だ…。)
ただでさえ包囲されないように動き続けていた巧は体力の限界に達しつつあった。どんなに早く動いても体は一つ。いくら鍛えていても何倍も速く動けるわけでもない。流石に何度も破られているだけあって、相手の包囲も鉄壁である。
(横に抜けても外側にいる三人に打たれる…。なら一か八か、やってみるしかないな。)
そして巧は賭けに出た。

勝てる。作戦がうまくいった生徒たちはそう確信した。このまま行けば相手の体力は尽きるだろう。
その時、それまで激しく動き隙を見せなかった巧の足が止まり構えに隙ができた。
(今だ!)
その居着きを見逃さず、一気に打ちこむ。しかしその剣を振り下ろした先に巧はいない。
(横にかわしたか!だが終わりだ!)
あの状態で横にかわせば包囲している三人が打ちこむ。もはやそれに対応するだけの力は残していまい。
しかしその確信は、絶望に代わる。生徒の上から巧の気勢が聞こえたのである。

「うおぉぉぉ!」
巧の賭け。それは相手の攻撃を縦にかわすことだった。横にかわすとどうしても次の動きに一拍隙ができる。しかし縦にかわす、すなわち跳んでかわせば空中から直接攻撃できる。面に隙を作り打たせれば視点が下がる。そこを上にかわせば相手は自分の姿を一瞬見失い隙ができる。
そんな綱渡りのような賭けだったが、巧を倒せず焦れていた相手はまんまと罠にかかってくれた。上から相手の面を打ち、そのほころびを突破。向かいの相手もその状況に対応できずあえ無く沈んだ。
数を三人に減らし、包囲することも難しくなり、勝負はあ
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