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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
4.SES計画V
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時間乗り、その中でも的確に状況を見極めるために様々な訓練をやった。
時間が空けば高度な工学系の学問や最先端の技術について学んでいった。
ちなみにこれらの訓練に必要な機材や土地、人材などは遠田技研の経営に影響を与えないために、父・遠田惣一郎の個人資産を切り崩して用意された。
遠田家は代々職人肌の一家で、趣味=仕事だったために、それまでに溜まった資産は膨大なものだった。しかしそれを惜しみなく投入しSES計画を進めていった。
その甲斐あってか、中学を卒業する頃には巧の能力は正規兵顔負けのものであり、衛士適正に必要な身体的な強度も、通常の衛士に比べて圧倒的だった。
SES<スーパーソルジャー計画>計画の名に恥じない効果があったと言えるだろう。ただし、そこに費やされた費用を合計すると、戦術機一機ぐらいなら優に買えてしまうほどだったが。


1988年 柳田邸

巧は二週間後の帝国陸軍志願を前にして、柳田邸にて最後の訓練に励んでいた。道場には柳田の道場で剣術を習っている生徒たちが十人、竹刀を持って巧を囲んでいる。そのうちの一人が気勢を上げて打ちかかっていった。
「めぇぇぇん!!」
巧はそれを掻い潜ると手に持った竹刀で胴を抜く。さらにその勢いでその後ろの生徒に襲い掛かる。しかし左右から打ちかかる気配を察すると、足を止めバックステップ。そこで待ち構えていた相手が巧の後頭部に攻撃を加えた。
それを受け止めた巧はまず集団の中から抜け出すことにした。
一点突破。包囲の薄い部分を見極め一気に突き破る巧。もちろんその方向にも相手はいたが。巧は反撃させる間を与えず打ちすえる。
巧の相手を務める生徒たちは舌を巻いた。自分たちとて柳田から教えを受けたもの。剣の腕には自信がある。しかし目の前にいる少年は自分より年下にも関わらず、圧倒的な数の差に苦しむこともなく冷静に攻撃をさばき、一人一人確実に打ち破っている。
戦い始めたときの侮りはもうなかった。それどころか本当に十人全員やられる危険性さえある。
一方、巧も内心焦っていた。柳田から課された最終訓練であり、試験。それは柳田の門弟十人を同時に相手にして勝つこと。時代劇ではあるまいし、そうそう簡単にいくことではない。普段は柳田を相手にしていることもあって、一人一人はそう難しい相手ではないが、数が違いすぎる。囲まれた状況ではどうにもならない。
包囲を突破した巧が振り返ると前から三人が同時に襲い掛かってくる。相手も剣を習っているだけあってかなり素早い踏み込みだ。
その攻撃を間合いを外してすかし、横に回り込み同時に一人を打ちすえる。残り七人。

柳田は訓練を見ながら、これまでのことを思い出していた。三年前自宅に訪れた少年は研さんを絶やさず、柳田の教えを確実に身につけていった。一年目は剣術の基本、二年目は実戦での動
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