御使いのいる家 ぱ〜と4
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
ト。なんかテレビ変わってない?」
「60インチの液晶テレビだ!ゲームも完備だよ!!」
「………なぁ、アドヴェント。この部屋って確かダイニングキッチン含めてタタミ8畳あるかないかの面積だったよな?」
「今はなんとタタミ12畳分だ!ああ、ダイニングキッチンは隣の部屋にあるよ?」
「……………………俺のアパートってこんなだっけ?」
「何を言うんだいミツル?」
アドヴェントはスムージーを飲む手を止める。健康に気遣うOLでもあるまいし朝から人の前でスムージー飲んでんじゃねえよ。というか我が家にそんなものを作る財政的余裕は………。あれ?
「この『高級』アパートは今日から君のものだよ!まさしく『俺のアパート』と声高らかに宣言できる素晴らしい場所だ!!実は昨日君が寝ている間に次元力の応用とドクトリンの伝手で改築してね!!あ、ミツルの部屋は勝手に触っちゃ悪いと思ってそのままの形にしてあるが、部屋には余裕があるから不満があったらすぐ言ってくれ!!」
「ん?」
何か、話がかみ合わないというか、重要な事を見逃しているというか。
俺は寝ぼける頭がいまだに完全に覚醒しないまま、首を傾げた。
「…………んん?」
それから数分後、やっと頭の回転が戻ってきた俺は、自分の住んでいたアパートがまるまる改築されて超高級アパートと化している事に気付き、「なんでさ」と呟いた。
「これこそ我らの新たな門出に相応しいというものだ!!我はいたく感心したぞ!!」
「しかし贅を尽くした建物など、果たして人類に必要なのでしょうか……生活していけるのなら、前の部屋のままでよかったのでは……あのガルガンティア船団のように、古き良き生き方を……」
「そういうのを懐古主義って言うんだよ、サクリファイ。今は今として素直に受け止めよう」
「そーそー!それにテンプティは断然今の方がいいなぁ〜!!ほら、前の部屋って狭くてムサくてダサかったし〜!それにぃ、ソファーがふっかふっか!!」
「貴様、テンプティ!!埃が立つから子供のような低俗な反応をするのは止めよ!!あと迂闊にミツルに関する悪口を言うとまたアドヴェントが……」
「お仕置きがたらなかったかな、んん?」
「ひぃっ!!た、助けてミツル!!テンプティ、怖いのはヤダよぉ!!」
「結局部屋は広くなっても争いは絶えないのですね……哀しい……」
「ああそうだねー……こいつらの全面的な面倒くささは変わってねぇんだよねー………」
部屋は広いのに、俺の周りだけ人口密度が高い。
コメカミがピクピクするのを自覚しながら、俺は全開バリバリの大放出でため息を吐き出した。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ