御使いのいる家 ぱ〜と4
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った「存在しようとする力」と「消滅しようとする力」の関係と非常に酷似している。おまけに世界を救う筈のカリ・ユガが「無」に属するという点においても御使いとよく似ている。
「実を言うとな、我々の宇宙にもそのようなものはあったのだよ。だが、『知の記憶者』としてそれに接触することは存在の消滅にも繋がりかねない危険な行為だ……ゆえに我等は宇宙を崩壊させる力が発生する直前になると世界から隠れ、新生した世界へと移っていた」
「初耳だな。しかし、そうか……方法としてはサクリファイが取ったものに似ているかもしれん。確実に記録を残そうとする君の職務への誠実さが見て取れるよ、盟友」
「む………まぁな。しかし何だ、ここへ来た経緯を考えるとその言葉は……」
「むぅ………いや、みなまで言うな。なればこそ我には盟友の気持ちがよく分かるぞ」
「そう言ってもらえると嬉しいよ、同志よ」
かちん、とグラスで乾杯し、二人はくいっと蒸留酒を喉に流し込む。二人して酒は飲まない性質だったが、人間として飲んでみるとなかなかどうして悪くない。ドクトリンは食事の必要ない存在だったので飲酒は当然排除しているし、クリティックもプログラムの存在であるが故に不要なものと割り切っていた。
職務に忠実過ぎたが故に自らが傲慢であることに気付けなかったドクトリン。
職務をこなす中で傲慢な意識のままに組織を作りかえてきたクリティック。
どちらもやっている事は違うようで本質的に同じことだ。しかも互いに、未だに自分たちが否定されたことを納得しきれていないという点がシンパシーを感じさせた。以来クリティックは時折この男と酒を酌み交わしている。
なお、クリティックはこの世界に来て直ぐに自分の地位を確立し、今は小さな情報会社の社長をしている。酒の代金はドクトリンの立場を知るクリティックの奢りだ。クリティック的には人の上に立って情報に関わっていればそれである程度は満足で、金には最低限しか頓着していない。
私欲丸出しだったクリティックだが、彼はあくまで使命には忠実だった。その忠実たる部分はドクトリンにしては珍しく好感を持てる部分であり、今では彼を自分と同格の存在として『盟友』と呼んでいる。クリティックもまたドクトリンに自分と似た空気を感じ、『同志』と呼んでいた。
「でさぁ、ぶっちゃけ私って『知の記憶者』として扱い悪くないかと思うのだよ。インファレンスは超イケメンでアプリカントは男前、しかもレギュレイトも美人なのになんで私だけパッとしない中年姿だよと思うのだよ」
「それは我も思うぞ!見てみろ、アドヴェントもテンプティもサクリファイもピッチピチで小顔になりおって!何故我だけが年老いた姿なのだ!エス・テランの人間の無意識を綺麗に四等分してどうして一人だけムサくなった!?分かるだろう盟友、
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