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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
外伝 憂鬱センチメンタル
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んら変わらない構造を持ちながら人間の身体ではないそれに意志を宿せば……究極の造形美を内包した究極の人形、『完成人形』が出来上がると思うんだ』

 夢を語って興奮する彼の子供っぽい横顔は、まだ彼が無謀に夢を追いかける若さを持っているということでもある。私だって、と活力を分けてもらった事に気付き、彼に釣られて笑った。こんなバカな夢を本当に叶えられたら、彼は伝説になるだろう。そのライバルがここで燻っていては申し訳が立たない。

『では貴方がそれを追い掛けている間に、私がその人形の装飾品を作って差し上げましょう。いつぞやの空飛ぶ靴も大分形になってきましたし、これからもまだまだ新商品を作っていって、最終的には貴方の『完成人形』もあっと驚くものを作らせていただきます。………ところで、ひとつ疑問があるのですが』
『何?』
『いえ、その………どうやって人形に意志を宿すのかという最大の部分が謎なんですが』
『そらそうだろ。何せ俺が一番苦戦してるところだからな!』

 能天気にからからと笑う彼を見た私は、内心で「この調子じゃ完成しないんじゃないのか?」と思ってしまったのだった。


 しかし、現実は違った。


「まさか本当に意志を宿してみせるとは………一体どんなからくりなのです?」
「企業秘密だ」
「成程……『アルル・ファミリア』の利権に関わるという大義名分があるのなら、それは個人ではなくファミリア同士の情報戦になる。私も深くは追求できません。上手く躱しましたね、ヴェルトール」
「棘のある言い方は勘弁しておくれよ」
「棘を刺したくもなります。彼等を見た限りでは、貴方の夢はほぼ完成しているようではないですか。なのに……なのに、何故そんな貌をしているのです?」
「今の俺は、どんな貌をしている」
「耳の聞こえなくなった音楽家のような貌です。少なくとも、私と夢を語らっていたころの面影はない」

 作りたくても作れないなどという陳腐域を超え、最早嘗て生業にしたそれに関わることすら嫌気が差しているような深い疲労の色が、彼の顔を曇らせていた。そんな彼の気持ちを知ってか知らずか、大人しく腕に抱かれていた人形――ドナとウォノが手元から離れてヴェルトールの方へと向かう。とてとてと愛らしい小さな歩みであったが、ヴェルトールに辿り着いた彼らはその両肩へと昇って座った。

『マスターをあんまり虐めないでね?これでも前よりカイゼンしてるんだから!』
『うむ。むしろあすふぃ殿に会ってから少し顔色が良くなった気がするのだ』

 ヴェルトールはそんな二人の頭を無言で撫でて微笑む。二人は目を細めて心地よさ気にそれを受け止めていた。やはり彼らはヴェルトールの子なのだ、と実感を得る。

「一人の友人として聞かせてください、ヴェルトール。この子たちは何なので
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