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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
外伝 憂鬱センチメンタル
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は主様……ぬ?母は女性だが主様は男性……だと?いかぬ、混乱してきたぞ!』

 きゃっきゃとはしゃぐその子供たちは余りにも美しかった。この世に存在する人工物とは思えないほどに完成された造型で、背中から伸びた純白の片翼がまるで彼らが天の御使いであることを証明しているかのようだ。そして何より、私はその子供たちの、人間にしては小さすぎる体を見て、戦慄した。

 アイテムメーカーとしての観察眼が、結論を弾きだす。

 この子たちは、人間じゃなくて『人形』だ――!!

 最早、人形が自分で喋っていることも思考していることも私の頭から抜け落ちた。
 何故なら、二人の人形はそれほどまでに芸術的な存在だったからだ。
 極限まで人工物であるという事実を削ぎ落とし、生物的な美学、黄金比、曲線、存在感を一部の隙なく完璧に埋め合わせたこの世界の奇跡の体現、いや奇跡そのもの。それが神ではなく人間の手によって作り出されたという事実一つをとっても世界がひっくり返りそうなほどに、それは完成されていた。

 そして何より、アスフィの知る限り「意志を持って動く人形」なんて発想を実現させようとした人間はこの世に一人しかいない。

 こんなものを、彼以外の誰が造ろうと考えようか。
 仮に考えたとして、どうしてそれを実行できようか。
 私は確信を持って、人形たちに問いかけた。

「もし、そこの二人。もしや貴方の父親とは――」


 ――それが、今から2,3年前の話だ。



 = =



 あれはそう、まだオーネストを見かけて間もない頃……やっと世界に色が戻り始めてた頃だった。

 俺は『完成人形』を隠すために動いていた。これはまだこの世に生まれるには早すぎる存在であることを、肌で感じ取っていたからだ。だから俺は『完成人形』をこの世界から隠すために偽装を施し、その封印の鍵としてドナとウォノという二つの人形を仕立てた。

 この人形は、下手をすれば『世界のパワーバランスをひっくり返す』程の力を持っている。自分の作品を封印するのに気は進まなかったが、やむを得ない。代わりに鍵の二人には『完成人形』の本質的部分を少しだけ移植し、世界で2番目に高度な人形とした。
 ドナとウォノは、身も心も子供だ。この世界に生まれて間もなく、周囲には知らないことだらけだった。彼等も『完成人形』ほどではないが、その価値を理解出来る者にとっては全財産をはたいてでも手に入れない代物。故にあまり外に出さず、出すときは俺と一緒に行動するよう躾けてきた。

 しかし、子供のしつけ方が悪いのか、それとも元来子供がそういう生き物なのか――天真爛漫な二人は目を離すと家から脱走してご近所を『冒険』していた。困った話ではあるが、自分の子供が成長する様は見ていて嬉しい物だったので
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