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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第23話 無名曲
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まれた砂鉄を零し、階段上から初春を覗き込んでいる。
「何か収穫があったようですわね」
初春の様子の変化に白井も少しだけホッとした。

「よし、よくやった」
サソリが道路上に手を置くと、氷が張り出して破壊された階段の補填をしていく。
初春は、氷で滑りそうになりながらも手すりや壁に手を当てて一歩一歩踏みしめるように上がる。

御坂さんや白井さん、そしてサソリさん
誰一人諦めていない
急がないと
私だって風紀委員なんだから
佐天さんやみんなを......

しかし、初春に三つの光球が迫り、空気を引き裂いて飛んでいる。
「!?」
爆発音と爆風にバランスを崩し、階段から転げ落ちそうになるが、眼鏡を掛けた女性隊員が後ろから初春を抱き抱えた。
「おっと!大丈夫?何か手は見つかったかしら?」
「は、はい!ありがとうございます」
階段へと立たせて先へと促した。
三つの光球を防ぎ守ったのは、黒い砂鉄と氷の壁だ。
少しだけ、うっすらと佐天がボヤッと映った気がした。
いつものようにイタズラでもするかのようにほくそ笑んでいる。

アンチスキルが用意した外部との連絡用の通信車に初春が乗り込むとレベルアッパー治療用プログラムをセットする。
責任者の男性が無線でやり取りしながら
「ああ、時間がない私が許可する。今から転送する音声ファイルをあらゆる手を使って学園都市中に放送してくれ」

初春が送った音声データは、学園都市中のあらゆるメディアで流された。
説明も一切付随していない「無名曲(イノミニットサウンド)」は人々を生活から切り離し、曲へと集中させた。
暴れていたレベルアッパーの患者達も大人しくなり、怪物に繋がるネットワークが次々と切れて行った。

サソリのネットワークから解き放たれた佐天は、静かに涙を流した。
初春......御坂さん......白井さん......
サソリ......

そして怪物は、脅威が去っていないことを知りサソリの居る高速道路上を見つめ、震えていた。

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