第23話 無名曲
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
調にアンチスキルのメンバーの動きが止まった。
「は、はひ......」
お母さん、私今日死ぬかもです
白井は神妙で複雑な顔をすると、眼鏡を掛けた女性隊員に近づくとポンっと触れた。
サソリの無茶振りは今日に始まったことではない
「では、お願いしますの」
「お、お手柔らかに」
スッと空間移動で御坂の所へ送った。
「良いんですの?」
「これくらい役に立たんと困る」
******
倒れていた木山は、気がついて周囲の状況を確認した。
暴れまわっている怪物を見つけるとヤケになったように笑い出す。
「クッ、ハハッアハハハハ!」
それは、計画の失敗を意味する偶像だった。
計算上でしかあり得ぬ、机上の空論で終わるはずのもの。
ひとしきり笑い終わると、鉄橋に背中を預け、嘲笑した。
「すごいな。まさかあんなバケモノだったとは......学会で発表すれば表彰ものだ」
一万人分の脳を木山一人の脳で全て制御できるはずがなかった。
木山の中には、既にあった最悪のシナリオが目の前で暴れている。
「もはや、ネットワークは私の手を離れ、あの子達を取り戻す事も、恢復させる事もかなわなくなった.......か」
木山は、もしもの為に用意していた銃を腰から出した。
「おしまいだな」
木山は出した銃口を自分のコメカミに当てる。
安全装置を外し、引き金に手を掛ける。
最期にあの子達に会いたかったが
自分の全力を出し切った
周到に計画し、何ヶ月も掛けて準備をしてきた
赤髪君やレールガンに阻まれた結果だ
この世界は、強いものが真実
木山センセー
全てをかなぐり捨てても立ちはだかる闇の深さ
個人でこの都市の闇を払うことでは事態が無謀だったのだろう
まだ死んでいない子達とは、きっと違う場所に私は行く
先に逝って、あの子達が来たら「あの世」の授業をするのも悪くないな
また、教壇に立って
眩しいくらいに純粋な彼らと、もう一度やり直そう
人差し指に力を徐々に加える。
指の関節はどれくらい曲げれば良いだろう?
アソビはあるだろうか?
コメカミに当たる冷たい銃口から熱い弾丸が自分を貫く。
ただそれだけだ。それで終わる。
「ダッメェーッ!」
初春が木山に飛びかかり木山の自殺を引き止めた。
映画でしか見たことがないようコメカミに銃口というシチュエーションに初春は、無我夢中に飛び出した。
「ななななな何考えてるんですかっ!!早まったら絶対ダメ......」
木山の手から銃を払い退け、木山を押さえつけるように馬乗りになった。
「生きてればきっといい事ありますって......アレ?」
必死に抑えていたが、手錠が木山の首を絞めていることにようやく気付いた。
「手錠つけてるの忘れてた....
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ