第23話 無名曲
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人間の感覚器官は五つあるとされている。
視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚。
これらの感覚により我々は、この世界を認識することができる。
そして、視覚にだけ特化したのが写輪眼を操る「うちは一族」だ。
愛を知り
人と繋がり、裏切られ
断ち切れた瞬間に愛から憎しみへと堕ちる。
見えざる世界を見続けるが故に酷使し、擦り切れた眼は次第に光から、世界から遠ざかり閉ざされる。視力を無くす。
人に近づき、突き放され、翻弄される宿命を背負う一族。
サソリ自身に目覚めた「うちはの遺産」とも云うべき代物は、サソリに愛を教え、人との繋がりを教え、世界の理不尽さを教えた。
忍時代、抜忍時代、暁加入時代
全ての繋がりと愛を否定してきたサソリ。
写輪眼により芽生えた感情は、抑えようとしても止むことがない。
そしてその瞳は、瞼の裏からサソリの動向を探るように光を奪い去った。
新たな文様がうっすら浮かび上がり始めていく。
******
白井のテレポートにより、一時的にチャクラの化け物との戦闘から離脱したサソリは、初春が待っている高速道路上へと移動していた。
「大丈夫ですかサソリさん?」
眼から血を滴らせるサソリを心配そうに初春が手当てをしている。
サソリの方が背が高いので前屈みになっている。
木山戦で負傷した隊員を手当てするための応急処置用の箱があり、それを借りていた。
ハンカチで片方ずつ出血を抑え、一時期よりは大分マシになったようだ。
目に触れる手前で出血箇所を確認している。
「ちっ、全く見えん」
サソリが頭を掻きながら言った。
「ちょっと失礼しますわ」
白井がサソリの閉じている瞼に指を掛けて、少しずつ慎重に開かせる。
ペンライトでサソリの眼球に光を当てるが反応は乏しい。
「ガラスの破片が入った訳ではなさそうですわね」
外見上は、傷もない眼球だが不思議な文様だけは生理的な運動により多少の変動が見られる。
手を振って、視界上をチラつかせるが見えていないようだ。
初春がアンチスキルから譲り受けた包帯をサソリの目に巻いていく。
「やっぱり、私のせいでしょうか......?」
初春がサソリに包帯を巻き、俯きながら質問をした。
「木山が犯人だと見抜けなかったのは私も同じですわよ。ここでしょげても何も解決しな......」
「サソリさんのパンツ捲りを我慢できていましたら、こんなことには!」
!!?
うえっ!?
へ?
パ、パンツ?
「あー、まさか木山があんな事をしてくるとは思わなかったな......計算外だった」
一体何の話しをしているのか分からない白井は「??」と疑問符を浮かべた。
「な、何をしたんですの?」
いや、何されたんですの?
「えっとサソリさんが私になりまして、木山
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