Side Story
少女怪盗と仮面の神父 10
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ギリの線が三日だ。その代わり、今日は少し多めに頑張ってくれると助かる」
「もちろんです! せっかくここまで丁寧に完熟させたオレンジをみすみす腐らせはしません!」
経験上、食べ物を粗末に扱うのは赦せないミートリッテ。
同じ農業従事者としての誇りを感じたピッシュは、満足気に頷いた。
「頼むよ」
「はい!」
今日の作業は完熟オレンジの選別だ。
色、形、大きさで等級を分け、それぞれ決められた数毎に梱包する。
とにかく数が多いのと、微妙な色の違いを見極めるのが大変で。
選別作業には膨大な時間を要求されるのが常だ。
特に今回は、三日分をできるだけ凝縮しなければならない。
一日中缶詰になる覚悟を整えて保管庫へ踏み込み、顔だけで振り返った。
「そうだ。ハウィスが『ありがとう、これからも愛娘の世話をよろしく』と『程好い甘さでとても美味しかったわ』って言ってましたよ」
「それは良かった。で、ミーは?」
どうだったかと聞かれて、申し訳なさにうつむく。
「実は、まだ食べてません。一度に減らすのが勿体なくて」
本当は、アーレストのせいで気分が悪い時に食べたくなかっただけだ。
贅沢の最高峰とも言える品。
記憶に残る一口目は、気分良く頂きたい。
「ああ、だから昼食用に持ってきたのか」
「え!? なんで分かったんですか!?」
思わず作業服のポケットを確認してしまう。
一見すると物が入ってるように見えないが、そのポケットの中には確かにピッシュがくれたマーマレードの小瓶と、ミートリッテが今朝作った無糖のビスケットが数枚入っていた。
「秘密。食べたら感想を聞かせてくれ」
ミートリッテの頭を軽く叩いて、ピッシュも保管庫に入る。
「はい!」
秘密って、なんだろう?
と好奇心を刺激されつつ。
ミートリッテは雇い主の背中を追いかけた。
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