Side Story
少女怪盗と仮面の神父 10
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「バーデル王国の国境警備隊も増員するそうだから、もしかしたら果樹園の仕事にも影響が出るかもね。話を聴いたピッシュの判断次第だけど」
「明日までは保管庫での作業が中心になる予定だし、大丈夫じゃないかな。でも、長引くのは困るかも。収入が減るぅーっ」
もちろん、シャムロックにとっては収入以前にハウィスの安全が掛かった大問題。
どうせ引き渡す日時は決まっているのだし。
それまでの間はどこか遠くへ消えててくれないかと、真剣に思う。
(……無理だろうな。見張りだもんね。その見張り力で軍の動きを察してるとしても、村の周りからは離れてないよね。多分)
あの指輪の価値がどれほどかは知らないが、小賢しい絡め手を使ってまで回収したがっているのだ。海賊達に手放す意思がないのは明白。
それはきっと、軍人が居ても居なくても変わらない。
いや。最悪、軍が現れたせいで血生臭い惨劇を繰り広げかねない。
(そうか。現時点で私が軍人や自警団に近寄る気配を見せてもダメなんだ。村領から遠ざける為に海賊の情報を売る気だ、と誤解される可能性がある。んがああぁあ! どこまでも面倒くさいいぃっ!)
「そんなにキツいなら、昨日贅沢しなければ良かったのに。ごちそうさま」
「ふぇ? あ」
気付けば、ハウィスが苦笑いで両手を合わせていた。
料理は綺麗になくなっている。
「……違うよ。お金のことで頭を掻いてたんじゃないの。仕事量が減ったら必然的に神父様との不毛な勧誘対決が増えそうで、それが物凄く嫌なだけ。早く終われば良いのにね、バーデル軍人の捕り物劇」
ミートリッテも慌てて朝食の残りを平らげ。
二人分の食器を重ねて、洗い場へ下げる。
「そうね。……よりによって、こんな時に来なくても良いのに……」
「ん? 何か言った?」
「まったく同意見だと言ったのよ。物騒な臭いがしてたら、店の売り上げがガタ落ちしちゃうもの」
「あはは、深夜営業には痛手だよね」
「笑いごとじゃないわよっ! 万が一「警備強化中は営業停止だ!」なんて言われたら、生活費の回収も難しくなるんですからね!」
「それは困る」
「でしょう?」
ミートリッテは食器を洗いながら。
ハウィスはテーブルに両肘を乗せ、甲に額を押し当てながら。
「「はあぁ……大迷惑……」」
盛大なため息を、同時に吐き出した。
朝食後、支度を済ませて果樹園へ走ったミートリッテを待っていたのは
「明日から三日間、休業する」
という、農園主ピッシュの宣告だった。
「明日からですか? でも、作業が間に合わないですよ!」
しかも、明日から三日間。
依頼の期日まで丸ごとお休みとは、何の皮肉か。
「果実が傷むまでのギリ
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