Side Story
少女怪盗と仮面の神父 10
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通りだなぁ)
稀には昨日のオニオンスープのように我ながらと感心する出来にもなる。
しかし、取り上げられたら泣いて非難してしまうほどの物なのか?
改めて食べ始めたハウィスを見て、疑問に首が傾く。
普段から自分で作っていて、他所で食べる機会も滅多にない。
それ故、ミートリッテの味覚には比較対象があまり存在せず、ピッシュに教えられたジャム作りの腕も手伝って、実はかなりの肥え舌・料理上手なのだが、自覚はしていなかった。
「……ああ、そうだ。昨夜、お客様とも話してたんだけど、近々村の警備が厳しくなるそうよ。自警団の邪魔になるから、夜の散歩は控えなさいね」
来た。
シャムロックが気を配らなきゃいけない、もう一つの側面だ。
さすがは大人が集まる夜の店。情報伝播は一番乗りか。
「警備の強化? なんで?」
素知らぬ顔で問い返すと、ハウィスはグッと眉を寄せて。
怒っているような悩んでいるような、複雑な表情になった。
「それが、いきなりすぎて全然解らないの。危険な集団が村領の内外周辺に潜伏してるせいだ、とは言ってたけど……名前や特徴が噂になったら相手を刺激するかもって理由で、詳細は開示しないそうよ。怪しい人間なんて影も感じなかったのに、バーデルの軍人が入ってきた時は自分の目を疑ったわ」
「へ? 隣国の軍人が、営業中の酒場に行ったの?」
「ええ。近海組は毎日漁帰りにウチの店を使うでしょ? 個人宅への拡散に便利だからって村長様が案内したのよ。自警団員と一緒に宣言するだけして帰ったけどね。ああ、どうせ来るならお金も落として欲しかったーっ!」
真面目が凝り固まった印象の軍人達を思い出した。
あれが緊迫した内容を告げに現れたと聞けば、白けた酒場の空気も想像は容易い。きっと、軍人達が引き上げた後は注文数が激減しただろう。
仕方ないとはいえ、営業側から見ればひたすら迷惑な訪問者だ。
そんな人達を相手にお金を落として欲しかったと思えるハウィスは、実に商魂たくましい。
それにしても
(詳細を開示しないって、おかしくない? 刺激も何も、いつだって気分で行動するのが当たり前な海賊の正体を隠してても、村のみんなが咄嗟に反応しづらくなるだけだよね? 心構えとか、逃走経路の意識とかを考えれば、絶対に前もって教えといたほうが良い筈)
ただでさえ後手に回ってるクセに。
そんな悠長な対応で本当に大丈夫なんだろうか……
などと、うっかり軍人側を心配してしまったが。
直後、海賊が捕まっても困るんだったと気付いて頭を抱える。
本心では、『賊』が付く有害生物なんかさっさと捕まえて欲しいのに。
奴らの喉が一斉に潰れない限りは、願うことすらままならない。
世は無情だ。
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