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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
3.SES計画U
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死の思いで防ぐ。体全体に衝撃が走り、手がしびれる。しかし柳田は止まらない。大きな声を上げながら振りかぶっては斬り、振りかぶっては斬り。それを必死に防ぐ巧。しかし防ぎきれないこともあった。防ぎきれなかった分は巧の体に刻まれ、少しずつだが浅い切り傷がつけられていく。痛いというよりも熱い。始まってまだ数分しか経っていないが、恐怖、闘争心、緊張、そして切られた傷の痛みが相まって、巧は体が燃え上がっている錯覚に陥った。しかしまだ闘争心はある。その気持ちに任せて再び巧は斬りかかった。小手、付き、胴、脛。ありとあらゆるところに、自分がこれまで培った全ての力をかけて斬りかかる。しかしその全てを防がれる。防がれ、吹っ飛ばされ、叩きつけられ、そして何倍もの力で斬りつけられる。その度に巧の心は削られていった。
もう何をしても敵わない。
そんな弱気が心をよぎり、急速に闘争心が萎む。それと同時に恐怖が心を占めるようになってきた。
「防ぐだけか!それでは死ぬぞ!」
「ぐぅっ!うわぁぁぁ!!!」
再び斬りかかる巧。最初の方の攻撃は相手の隙や、間合いなどを計って斬りかかったが、もうそんな余裕はない。まさに恐慌状態だった。恐怖に駆られ剣を振るう。しかしそんな破れかぶれな一撃は柳田の刀に弾き飛ばされてしまう。そして巧は見た。刀を弾き飛ばされもはや防ぎようのない巧に容赦なく振り下ろされる刃。その時間違いなく巧は死んだ。巧は失禁し、気を失った。
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「うっ、うぅ。はっ・・・!?」
巧が目を覚ますとそこは知らない部屋だった。外は暗く、着替えをさせられている。
「気が付きましたか?体は大丈夫?」
傍に和服を着た女性が座っていた。女性は心配そうな声で巧に語りかける。
「はじめまして。柳田の妻、智美といいます。ずいぶん無茶をされたようですね…。傷の治療は済んでいますが、大丈夫ですか?」
体を見ると数か所に治療した跡がある。どれも小さなものばかりであった。巧は戦っているときズタボロの血まみれになっていたように錯覚していたが、実際は大した傷はなかった。恐怖と興奮でそう見えていただけだったのだ。
「本当に驚きましたよ。用事から帰ってきてみればあの人は居なくて、道場で今日から弟子入りした子を鍛えてるって聞いてね。道場に行ってみれば君が倒れていたし。あ、君って遠田巧君よね?」
「あ、はい。」
「ふふっ…。手当も体を拭くのも着替えさせるのも私がやったのよ。弟子というより息子って感じね。」
それを聞いて巧は顔を赤くして狼狽した。見知らぬ女性に裸にされて色々世話を焼かれるというのは非常に恥ずかしかったのだ。さらに柳田の妻、智美は妙齢の美しい女性だったのでなおさらである。
「あらあら、恥ずかしがっち
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