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戦国御伽草子
肆ノ巻
御霊

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 はっと辺りを見回して、あたしを更に強く睨み付ける。



(私は、十三年前に徳川家の姫として産まれた)



 …今、何か聞こえた?



 その声は高彬にも聞こえたらしく、不思議そうにあたしと女童を交互に見た。



「やめろおおおおぉっ!」



 女童が声をかき消すように、獣のように咆哮(ほうこう)する。



「瑠螺蔚さん、これは一体…」



「わからないわ。けど…」



 声は続く。



(生まれ落ちて、最初に聞こえたのが、兄上の声だった)
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