肆ノ巻
御霊
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て、高彬と女童の間に割り込んだ。
「瑠螺蔚さん!」
高彬が批難するように名を呼んだけど、そんなの知ったこっちゃあ無い。
「狙いはあんたよ、高彬」
だからさがってなさいと暗に言うと、あたしの言葉に同意するように女童がころころと笑う。
「ふふふ、そうですよ高彬様、狙いはあなた様なのですから、すぐに殺されないようにして下さいませんと…いつぞやの宵の一献は、お喜び頂けましたようで…一服盛った甲斐がございましたわぁふふふふふ」
「おまえ…雪!」
「痛っ!?」
「あ…ごめん」
あたしの肩にかかっていた高彬の手にぐっと力がかかって、あたしは思わず声を上げた。すぐに高彬は謝ってくれたけど、険しい顔は変わらぬままだ。
「えっと、やっぱり知り合いなの?」
「瑠螺蔚さん覚えていないのか。毒杯を持ってきた侍女の名が雪と言った」
どうやらあたしが佐々家で疑いもせず白湯を飲んで、ごぶごぶと血反吐を吐いて倒れた時のことを言っているのだ。確かにそう言われてみれば、白湯を持ってきた侍女がそんな名を名乗っていたような気がしなくも無い。
「あんたよく覚えてるわね…」
「忘れるものか」
あたしが半ば呆れたように言うと、高彬は吐き捨てるように返した。
温厚な高彬がこんなに敵意を露わにするのは珍しい。そのまま、高彬はあたしを押しのけるように前に出ると、刀を構えた。
「だっ、ばかっ!だから狙いはあんただって言ってるでしょっ!さがってなさいってばっ!」
どうにか庇おうと高彬を押したり引いたりするが、高彬はそんなあたしを軽くいなし、女童をただ睨み付ける。
高彬が女の背に庇われてそれに甘んじるような男じゃ無いって事は百も承知だけど、刀なんてどれだけ通用するかはわかんないし、このままじゃこの得体の知れない女の思うツボじゃないの!
「ちょ、あ、あんた!」
女童はそれが自分にかけられた声だとわかったのだろう。くすくすと笑いは止めないまま、あたしに目を向けた。
「あんた、なんでこんなことするの!?あたしが憎いなら、高彬を狙うなんて回りくどいことしないで、さっさとあたしを殺せば良いじゃ無い!」
あたしの言葉に、前で高彬が息をのんだ気配がした。もちろん、易々死んでやるつもりなんて無いけれど!でも高彬が標的になるぐらいだったら、あたし自身が狙われていた方が百万倍ましよ!
「おまえを、苦しめたいのー…」
しかし女童は恍惚とした顔でそんな禍言(まがご
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