最上級のお礼と姉
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声が良く聞こえる。静かな声。ああ、やっぱり好きだな…。
「ラトゥミナでは、互いの誠と慈悲をあわせる。至上の感謝を伝えるとき…」
ラトゥミナの風習を語る彼の声が好き。凪いだ水のような清らかさで以て、あたしの身に染み入る声が。彼は、きっと、ラトゥミナ族に産まれたことに誇りを持っているんだろう。彼が大事にするものを、あたしも大事にしたい…。
「あわせるのは、互いの誠と誠」
「!!!!!!???????」
あれ、声が近くなったなァ、なんて呑気に思っていたあたしは予想外の事態に完ッ全に石化した。
「…そなたの『感謝』、確かに受け取った」
閉じてる瞼が熱い。えええええええええ今何が起こったの?え、なに、どゆこと?ピヨピヨ。
「先ほど言ったこと、嘘では無い。困ったときは、私を頼りなさい」
そうして彼が出て行っても、あたしの石化状態が溶けるわけも無く。
「んー…え、えっ、ね、姉さん?何して…姉さん!?」
空が白ばみ、太陽が顔を出し、小鳥がちゅんちゅんと朝を告げても、あたしは思考停止のまま動けなかった。元気になったノエルが石像となったあたしの背中を見てぎょっとする。
そんなノエルの声を聞いて、あたしはやっと現実に戻ってきた。気が抜けた、とも言うー…。
そうして文字通り、あたしは倒れたのである。ばったん。
「姉さん!」
ノエルの声を遠くに聞きながら、ぐるぐるとまわる頭で思う。
そう言えば、言ってた。アベルさま。何度も何度も、後悔する、とかなんとか。それを軽く流して聞かなかったアホは何処の誰だ。あたしか。
アベルさまに初めて会ったとき、許しを求められて、耳の後ろに口づけされたんだった。必死になってたから、うっかり忘れてたわ。うん、言ってた言ってた。赤の色を持つラトゥミナは、赤い色が尊いものとされるって。だから血にも神が宿るって。右耳の下に居るのが慈悲の神様で、唇が誠の神様?それでお互いをあわせて許しを乞う、ってそういやぁ言ってたわぁアハハー。
で、すっごく感謝した時は何だって?誠と誠をあわせるって?マコトってつまりどこかって言うと…そ・う☆クチビル!正解、くちびるよ。
ってことはぁ?どういうことかっていうとぉ?????
一般的にそれただのキスですからぁーーーーー!!!!!!バターン!
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