最上級のお礼と姉
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「わたしはそろそろ行かなければならない」
アベルさまはそう言うと、ぽんとあたしの頭に手を乗せた。
「…ラトゥミナ族の…」
「ん?」
「ラトゥミナ族のお礼の仕方を教えて下さい。…最上級の!」
あたしはいいことを思いついたように晴れ晴れした顔をあげた。
けれど、そう言ったら、アベルさまの表情が笑顔のままかきんと固まった。え、なんか変なこと言ったかな。
「…いや、それは…」
彼は歯切れ悪く言うと、口元を覆ってまた困った顔をする。
「ラトゥミナと、一般の常識にはかなり隔たりがあってね…」
「それはもう聞きました!お金も、お礼も受け取って下さらないのなら、せめて、あなたの世界の常識でお礼がしたいんです!あたしが本当の本当に感謝してるんだって、わかって頂きたいんです!なにもいらないとおっしゃるのなら、せめて、せめてそれぐらいさせてください…!」
「いや、もう気持ちは十分貰ったよ」
「足りません!」
「ええと…じゃあ、最上級じゃなくて、もう少し軽い感謝では…」
「ダメです!あたしの感謝は軽いものじゃないんです!いっちばんのお礼の仕方を教えて下さい!」
「どうしても?」
「どうしても!」
「後悔するよ」
「しません、絶対!」
ちょっとだけ、(彼がこんなに固辞するのはなんかあるんじゃ…)と頭を掠めたけれど、それよりももう少しで折れそうなアベルさまにもうこのまま押し切ってしまえとあたしは強く頷く。
アベルさまははぁとため息をついた。
「それを教えればキミは満足するんだね?」
「教えて貰うだけじゃダメですよ。あ、どんな面倒くさい手順でも、時間がかかってもいいですよ。実行して、あなたに受け入れて貰うまでがお礼です。それで今日のところは良しとします」
「気にしなくて良いと言っても、聞かないんだろうね…」
彼は再び、困ったような顔で笑った。
「…こっちを向いて」
「向いてます」
アベルさまは女子にしては背の高いあたしからしても更に見上げるほど高い。
「目を閉じて」
ん?目を閉じたらお礼のやり方見せてもらえないんだけど…まぁもしかしたら目を閉じてやるお礼かもしれないし、餅は餅屋、ラトゥミナのことはラトゥミナ族に任せておくのが一番だよね。そんなことを考えながらあたしは素直に目を閉じた。
「許しを請うとき」
目を閉じて視界を遮ったからか、彼の
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