第百五話
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ら彼女たちが頼りにしていた浮力は消失し、驚愕とともに水音をたてて沈んでいった。
「――ぷはっ!」
「――っぺぺ……あれ、わたしたち、浮いてる……?」
とはいえそれは一瞬のこと、すぐさま二人は浮かび上がってくると、水に浮かんでいる自分たちを確かめ合っていた。それから少しばかり泳いでみせると――まだまだ泳ぎ方は雑だったが――試練を乗り越えたのを喜び合うように、互いに互いの肩を抱き合って賞賛しあう。
「やったねセブン! ボクたち泳げるようになったよ!」
「ええ! ええええええ! ショウキもほら、一緒に泳ぎましょうよ!」
ハイテンションに騒ぎだす二人の少女を眼福だと眺めながら、地上で拍手を送っていた俺に誘いの申し出が来る。そんな様子に苦笑いしながらも、せっかく水場に来たのに入らないとは損だとばかりに、俺も二人が待つ水場に飛び込んでいき――
――すっかりこのアインクラッドの時間では、夕方頃となってしまった。それからはクロールや平泳ぎといった、特に水泳に詳しくない俺でも教えられることを教え、冷え込んできたあたりで解散となった。
「ショウキくん。何度も言うようだけど、今日はありがとうね!」
「大したことは教えてないよ」
みんな着ていた水着から普段着に着替え、水色のドレスの裾を摘みながら、セブンは上品にお礼を言ってみせる。特別なことはしていないこちらにとって、そこまで大げさにされると少し照れてしまい、髪をクシャクシャと掻いてそっぽを向く。
「ううん。ボクたち、その大したことじゃないのも、やったことなかったんだから。ありがと、ショウキ」
「そういうこと! これ、お礼ね?」
このことが無くても、あげるつもりだったんだけど――と言いながら差し出されたのは、数枚のチケットだった。煌びやかなそれを見てみると、どうやらそれはライブチケットらしく。アインクラッドにおいて生ライブだそうだが、果たしてそれは生ライブと言えるのだろうか……?
「この前のボス戦のお礼も兼ねて、ね。はいユウキにも。あのノームの人はユウキのギルドメンバーなのよね?」
「う、うん」
先のアインクラッド第二十一層攻略作戦。仲間の一人が《バーサクヒーラー》などと呼ばれるようになり、かつこの水着に来ることにもなった戦いだ。そのシャムロックとの共同戦線を張ったことへのお礼らしく、こちらに渡されたのは四枚。ユウキには彼女の分とテッチの分とすると、パーティー七人に対して一枚足りない。
「セブン、一枚足りないみたいだけども」
「ううん。ルクスはこのゲームで最初に友達になったから、わたしの手で渡したいの!」
二十一層に参加した俺たちのパーティーの分としては一人足りないが、どうやらルクスにはセブン自ら渡し
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