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SAO−銀ノ月−
第百五話
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たのは、恐らくはスメラギ流のジョークであるらしく。こちらも小さく笑みを浮かべると、感謝しながら頭を上げる。

「ただ詳しくは言えないが、セブンに実験と目的があることも確かだ。俺は助手として、彼女を手助けするだけだがな」

「ああ……そうだな」

 ……少し、スメラギという人物が分かった気がした。今度店に来た時は、少しサービスでもしてやろう――とは思ったのは確かだったが、ここからが大変なところだった。

「それでショウキ。どこか、セブンをよく見張れる場所はないか」

「……帰ってやれ」

 ――それから激闘を経て何とかスメラギに帰還していただき、ひとまずは誰かの気配のようなものは感じなくなった。スメラギが《隠蔽》スキルの質を上げてきた、という可能性も無くはないが、彼の良心をひとまず信じることにする。……いや、良心を信じればまだセブンを見守っていそうだが。

 スメラギは過保護なんだから――とセブンが愚痴っていたが、今までその立場から仕方ないとは思っていたが、これから少しセブンに同情することにする。本人としては、真面目に真摯に彼女の為に、と仕事をしているのが厄介そうだ。

「悪い、泳げてるか?」

「あ、ショウキ! もう完璧だよ!」

「ふふん。ま、このわたしにかかればね!」

 慌てて二人が泳ぐ水場に戻ってみると、ユウキにセブンがどちらも、今までも嘘のように水場に馴染んでいた。……ただ、その手にはしっかりとビート板が握られており、どうやらあと一息のところであるらしい。

「よし、じゃあビート板を手から離してくれ」

「えっ!?」

「えっ」

 思ってもみなかったような驚愕の声をあげられ、むしろこちらが驚いてしまう。ずっとビート板を持って泳ぐつもりだったのか、それともずっと使っていて愛着が湧いたのか。もしも愛着がついたならば、制作者冥利に尽きるというものだが、水に顔をつけたまま泳げるようになった彼女たちに……もうあのビート板は必要ないのだ。

「泳ぐまであと一歩だ。その為には……そのビート板を離さなくちゃいけないんだ」

「そっか……そうだよね……」

「ええ、寂しいけど……」

 ドキュメンタリー番組ならば、壮大なバックミュージックが流れそうな、彼女たちとビート板との涙の別れ。この日のために制作した結果、何故か持ち手が柄になった上に仕込み刀が入った、完全にビート板としてはイロモノなアレを――そこまで気に入ってくれるとは。その様子に制作者としても涙しながら、俺はアイテムストレージのメニューを選択する。

「今まで……今までありがとうわぁ!?」

 長くなりそうだったので、ユウキがビート板に語りかけている間に、二つのビート板をメニューからアイテムストレージにしまい込む。当然なが
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