第百五話
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十中八九、《隠蔽》スキルによるものだ。キリトにレコンなど、どうも身近にそれを行うプレイヤーが多く、かのゲームでの経験もあって断定できる。それを見破ることの出来る《索敵》スキルを俺は持っていない、が……
「二人とも、ちょっと泳いでてくれ」
ユウキとセブンに言い聞かせながら、ストレージを操作してクナイを手に取りだした。一応付き合いやもしものために水着姿のため、日本刀《銀ノ月》を帯びることは出来ない。それでもこちらを……いや、水中で泳ぐ二人を見る視線を感じながら――俺はそちらに向けて、反射的にクナイを投げ放った。
「――――ッ!」
だがクナイは不自然な場所で中ほどから切り裂かれ、その姿はポリゴン片となって消失する。だが行動を起こしたことで《隠蔽》スキルが解除され、その姿が現される――前に。銀色の刃が俺の無防備な首筋に添えられた。
「……動くな」
こちらが丸腰ということを差し引いたとしても、動くことの出来ない高速の斬撃。通常のカタナよりも鈍重な筈の野太刀を軽々と振るったその姿は、長身のウンディーネの青年。
「……スメラギ?」
「動くな。いいな?」
セブンがリーダーを務めるかのギルド《シャムロック》の副リーダー、スメラギの姿がそこにはあった。彼の申し出にコクリと頷くと、スメラギはリズベット武具店でお買い求めになった野太刀を、ゆっくりと鞘にしまっていく。
「手荒な真似をした。すまない」
「いや……どうしたんだ? セブンに用か?」
野太刀に晒された首筋を触りながら、俺は深々と頭を下げるスメラギに質問する。……とはいえ用事ならば《隠蔽》スキルで隠れる必要もなく、その質問が本当に答えだとは思ってもいなかったが。
「セブンが泳ぎの特訓をするというので、警戒していた」
「……それだけか?」
「ああ」
……何かの冗談だと思っていたが、スメラギの表情はまるで変わらない。本当に彼はただセブンを見守る為に来ていたのだと、あまりにも嘘のような理由に疑わしげな視線を向けるものの、その自信ありげな仏頂面はまるで動かない。……これで本当の理由を隠しているようなら、大した役者だと思わざるを得ない。
「……心配しすぎじゃないか」
「確かに……そうだが。彼女は博士などという役職ではあるが、まだVR適応ギリギリの子供だ」
自らでも自覚はあったようであるが、スメラギはあくまで仏頂面のまま真面目に語る。……リズに「スメラギがあんたに似てる」などと言われたのだが、このストーカーと同じだと言われると釈然としない。
「そもそも……スメラギはセブンの助手なんだったか?」
「ああ」
ひょんなきっかけから知り合ったセブンが、フレンドリーにこちらに接してきているため、
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