第百五話
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ムで答えた返答に、さらに二人の緊張感が高まっていく。もちろん俺が持っていなければ、始めたばかりのセブンはもちろん、水場に縁もゆかりもないユウキも習得してはいないだろう。
「水中でも活動出来るようになるなら、泳ぎの練習にならないからな……そういえばユウキ、水中を泳ぐゲームとかやったことないのか?」
もちろん溺れるような状況になる前に助けるつもりではあるが、本当に魔法がないことが伺われる俺の言葉が、どうやら緊張感のトドメになったらしく。そんな様子と雰囲気に苦笑しながら、俺はかねてより気になっていたことをユウキに聞いた。
「うーん……ないことは無かったけどさ。このゲームで言う翼みたいな、あんまり現実で泳ぐのとは違ったかなぁ」
「そうね。水はVRでの再現が難しいから……こんなに水中を推してるのは、『あのゲーム』の流れを汲んだ、このゲームぐらいじゃないかしら」
スリーピング・ナイツはこのALOに来るより以前は、様々なVRゲームをあのメンバーで遊んでいたらしいのだが、水中を泳ぐようなゲームはなかったのか。俺のふとした質問にユウキが困ったように答えると、セブンが専門家からの目線で推測する。
「なるほど……」
アイドルや俺たちと遊んでいる時のセブンではなく、VR専門の博士としての風格を漂わせるセブンが語った、『あのゲーム』の参加者として1人納得する。スリーピング・ナイツたちと同じく、様々なVRゲームをプレイしているレコンから聞いたことはあるが、水中というのは大体はダメージゾーンと同義であるそうだ。そのVRゲーム全体の水場への認識については、かつての《死銃》事件で水中を利用した奇策を取ったのが、SAO生還者たるキリトに《死銃》だけだったことからも頷ける。
対してこの――いや、『あのゲーム』ことSAOは、開発者が『もう一つの現実世界』を目指して完成させたものだ。水がない世界など存在しないのだと、専門家であるセブンに『難しい』と言わしめるそれを、違和感なくあの男は作り上げたのだろう。
「……また話がそれたな。とりあえず飛び込もうか」
「……ショウキくん、結構スパルタよね。そうよね?」
思えばこのVR空間とは、たかだかダメージを食らう程度で、溺れはしても死にはしない。自分も学校でリハビリにVR空間を使ったトレーニングをしていたが、こういうVR空間の利用法を、セブンのようなVR研究家は調べているのだろう。……少しばかり興味は出て来たが、今は考えるべきことではなく。考えたくもないあの男のこととともに、思考を頭から追い出しながら手を叩いて二人を促していく。
「よ、よし! リズも言ってた……女は度胸だ!」
ユウキがそう叫びながらビート板を持ち――あとでリズには話を聞かねばならない――勢いよく、無駄に
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