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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十四話 裏腹
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師がいた。
「お姉ちゃん……」
「柚那、心配した」
「……ごめんなさい」
黒鐘はそっと柚那を下ろすと、柚那は雪鳴の胸に飛び込んだ。
対して雪鳴はぎゅっと抱きしめて受け入れる。
雪鳴の胸の中で柚那は声を抑えながら、涙を流す。
先ほどまでの恐怖心が、再会できた喜びが、様々な感情が一気に押しおせてきたが故の涙を、雪鳴は受け止めてあげた。
「雪鳴。 柚那のこと、頼む」
「そっちはお願い」
「ああ、任せろ」
そんな二人に背を向け、黒鐘は巨木の方へ向きを変える。
「高町。 行くぞ」
「うん!」
巨木の存在に気づいて合流した高町 なのはも気合いをいれ、黒鐘と共に屋上から飛び降り、飛行魔法で巨木まで向かう。
二人を見送った雪鳴が、柚那に声をかける。
「柚那、聞いて欲しいことがある」
「……なに?」
鼻水をすすりながら、柚那は雪鳴の言葉に耳を傾ける。
「黒鐘のこと」
「それって……」
「黒鐘が私たちに会わなかった……会えなかった理由」
そう言って雪鳴は語りだした。
黒鐘が五年間の時の中で何を経験したのか。
先ほどの言葉に込められた深い悲しみや葛藤の正体を。
「……そん、な」
雪鳴から明かされた真実に、自分が今までしてきたことがどれほど愚かだったか思い知らされる。
彼が雪鳴を傷つけた?
彼が柚那を傷つけた?
そして彼が無責任な笑顔を振りまいていた?
勘違いも甚だしい。
黒鐘は、柚那達を傷つけないために黙っていたんだ。
そして自分も傷ついていたから会わなかったんだ。
無責任に笑顔を振りまいていたんじゃない。
笑顔でいないと、辛い現実に押しつぶされそうになるから笑っていたんだ。
五年前と何も変わらない?
違う。
彼は変わらなかったのではなく、変われなかったんだ。
恐らく黒鐘の時間は、五年前の事件の時から進んでいなくて。
「私、最低だ……」
怒りが自分自身に向く。
五年前、黒鐘が姿を見せなくなったことで雪鳴も柚那も悲しい思いを経験した。
けれど二人は一緒にいたし、両親や門下生の人の支えもあって立ち直ることができたし、色んな目標を見出すこともできた。
励まし、励まされて、立ち直れたんだ。
――――しかし、黒鐘は違う。
励ましてくれる親を失い、姉も意識不明になった。
支えてくれる家族を失ったせいで、分かち合う人が一人もいなかったのだ。
しかも柚那達とは異なり、一番身近にいる『家族』を失った。
当時の彼は5歳。
まだ家族に甘えたい時
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