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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十四話 裏腹
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少し照れくさそうに視線を逸らす彼を見て、自分の胸がさらに熱を発していることに気づく。
心臓の鼓動は増し、頬は蒸気して彼から視線を逸らせない。
それが嬉しいと言う感情だというのはすぐに気づいた。
最初、彼は巨木を見てこちらに来たから、柚那のことは思考に含まれていないのだと落ち込んだ。
が、自分の助けてって声が届いて、彼はそれに応えてくれたと思うと、自然と嬉しさがこみ上げてくる。
「間に合ってよかった」
「え……?」
「もし間に合わなかったら俺……一生後悔するところだった」
柚那を抱きしめる手に、僅かばかり余分な力が込められる。
少しキツく感じるほど抱きしめられる中、黒鐘は不安そうな表情で言葉を紡ぐ。
「謝りたいこと、話したいこと、沢山あるんだ。 仲直りしたかったし、また雪鳴も混じって三人で笑い合いたかった。 間に合わなかったら、それができなくなるところだった」
「あ……」
柚那の頬にポツリと、雫がこぼれ落ちる。
それは黒鐘の瞳から流れた、心からの涙だった。
「もう、嫌なんだ。 大切な人が、俺の目の前からいなくなるのは、嫌なんだ……」
「お兄ちゃん……」
その言葉には、柚那には理解しきれないほど深い苦しみや葛藤があるように感じて、柚那はこれ以上、何を言えばいいのか分からなかった。
だけど、誰かのことを心配して、誰かのために必死になって、誰かの為に涙を流して……そんな姿は、五年前から何も変わってなくて。
(そう、なんだ……)
五年という月日は、確かに色んなものを変えてしまった。
良いものも悪いものも、良いことも悪いことも、全部が変わってしまった。
だけど、小伊坂 黒鐘にとって自分は妹のような存在として見てもらっている。
それは決して子供扱いなんかじゃなくて、大切な家族のように思っているもので――――そして、そう感じるのはきっと、
(アタシも、なんだ……)
恨むとか、憎むとか、許せないとか。
どんなに負の感情を抱こうとも、五年前のことはなかったことにはならなくて。
小伊坂 黒鐘にとって自分がどれだけ大切な存在かを思い知らされる。
――――五年前、彼に憧れや親愛を抱いたのは何も雪鳴だけじゃない。
柚那もまた、自分のことを大切にしてくれる黒鐘のことが大好きなんだってことを改めて思い知る。
(お兄ちゃん、ありがとう)
声に出せないながらも、柚那は心のなかでそっと……彼に感謝の言葉を述べた。
黒鐘はそれから涙をこらえながら巨木から離れ、人気ないマンションの屋上に到着する。
そこには姉である雪鳴も居て、さらに白いバリアジャケットを身に纏った魔導
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