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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十四話 裏腹
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とは、それだけこの宝石、ロストロギアには膨大なエネルギーが存在すると言うこと。
だが逆に言えば、ロストロギアと木との接続を切ればいい。
そう判断した柚那はロストロギア目掛けて風月輪を投げる。
――――すると今までにない程の数の枝、蔓、根っこが前方に現れ、ロストロギアを守る壁となって立ちはだかる。
そこまでは想像していなかった柚那の放った風月輪は弾き返され、再び手元に――――、
「っ――――きゃあああああ!?」
戻る風月輪に向けて手を伸ばしている隙を突かれ、地面から二本の蔓が柚那の両脚を捉え、予想もつかなほどの怪力で持ち上げ、目的の方向に持ち主がいなかった風月輪は地面に突き刺さる。
「うっ!」
脚を持ち上げらた影響で身体が上下真逆になり、視界が反転、宙吊り状態になった柚那のスリットが下に落ちていく。
「きゃ……」
反射的に柚那は両手でそれを押さえ、頬を赤く染めながら巨木を睨みつける。
が、顔もなければ眼も存在しない意思だけの存在を睨みつけた所で何も変わらず、巨木はさらに数本の枝を柚那に向けて伸ばした。
「ひっ!?」
てっきり叩きつけてくるのかと思い、全身に魔力の膜を張って防御に専念した柚那の予想とは違い、枝は柚那の身体を舐めるように這う動きをする。
ぞわり、と血の気が引き、全身に鳥肌が立つほどの生理的嫌悪感を催す。
それが集中力を奪い、魔法の発動を妨げる。
「き、気持ち悪いぃ……」
つま先から太ももへ絡みながら伸びる枝。
指先から首筋に伸びる枝。
腹部から脇へ這う枝。
複数の枝が一度に全身を刺激し、羞恥で顔が真っ赤に染まる。
――――柚那は実戦経験は多いが、その全てが対人戦のため、こうした自然との相手は初めてだった。
人間相手ならば複数人が相手だろうと対応できるが、こうした状況に置いての対処法は未経験のために混乱を招いていた。
「ひゃんっ!」
枝が首筋と脇の両方を同時に刺激され、甲高い声を上げてしまう。
それが更なる羞恥を与え、脳内で混乱を生む。
年齢的な意味で未だ“そういったこと”への免疫がない柚那にとって今の刺激は初めてで、故にどういう言葉で表せばいいのかすら判断できない。
だが一つ、反射的に思った感情を言葉にすれば――――、
「イヤだ……」
気持ち悪い以上に、イヤと言う拒絶反応だった。
そして一度その拒絶反応が出た所で柚那の思考は、戦う意欲よりも体を弄り回す枝への恐怖心が支配しだした。
「やめ、て……んっ……い、いやだぁ……ひゃん」
体の至る所を刺激され、全身から力が抜けていく中、恐怖心から涙が溢れ出る。
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