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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十四話 裏腹
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 エメラルドグリーンの光から生み出された巨木へ走ると、周囲の環境が変わっていくのを感じた。

 魔法による広域結界の展開。

 それによって一般人は姿を消し、人気のない海鳴に変化していた。

 魔導師や、魔導師になっていないながらも魔力を持つ者以外が干渉できない空間。

 結界の展開は彼女/柚那が発動させたものではない。

 黒鐘や雪鳴が展開すると言う考えもあったが、二人の魔力はこちらに迫っているだけで周囲に広がっていない。

 結界から感じるのは知らない人の魔力。

「他にも魔導師がいるってこと……?」

 魔法文化がなく、ロストロギアレベルのものが存在しない世界で他にも魔導師がいる。

 なんの事情もなく訪れるような世界じゃないだけに、その存在は柚那にとって疑問になることだった。

 答えが出ないうちに巨木まであと数十メートルと近づいた所で巨木が行動を起こす。

 二本の枝が鞭の様なしなりを起こしながら柚那に振るわれた。
 
「――――っ!?」

 突如襲ってきた鞭のような枝に対し、柚那は驚きながらも咄嗟に地面に着地、そこから枝がギリギリまで迫った所で横に飛んで回避する。

 着地して迫ってきた枝を見ると、空を切ってそのまま地面を叩きつけた。

 そこには大きな穴ができ、周囲に瓦礫が散る。

「どうしてこんなこと?」

 ただの巨木であれば、迫る柚那に対して攻撃なんてしない。

 巨木ななぜ柚那を敵とみなしたのか。

 そもそもなぜこんなものが生まれたのか。

 疑問はいつまでも増すばかり。

 ……が、一つだけ変わらない答えがある。

 “これ”は放ってはいけない存在であり、これを壊せるのは魔導師である自分なのだということ。

「なら、考えるのはあと! 斬り散らせ、――――風月輪(ふうげつりん)!」

 迷いを振り払い、柚那は両手を左右斜め下に広げ、掌に意識を集中させる。

 瞬間、新たに迫った複数の枝を前に、柚那の両手に真ん中に穴があいた円形型の刃が現れ、握り手の部分を掴む。

 更に全身の衣服が鮮やかな翠の光に包まれたと思うと、詰襟で横に深いスリットのあるワンピース……所謂チャイナドレスと言われるような服装に変わっていた。

 ――――逢沢家の出身世界/第54管理内世界・クレアスペアーレには、デバイスとは似て非なる武器――――固有魔装と書いてデバイスと読む武器が存在する。

 クレアスペアーレで採れる素材で作られた固有魔装(デバイス)は、『契約』と結ぶことで魔力に変換され、契約者の体内に取り込まれる性質を持ち、そして契約者が望めば魔力から武器形態になって顕現し、武器に合った服装へ変化する。

 小伊坂 黒鐘が姿を現さなくなってから二年
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