一章
21
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俺の過去
ずっと求めていたもの
何年も何年も……
恐れられても、追われ続けても、死にかけても
ずっとずっと求めてきた俺の記憶
「どうする気……」
「行くわけねぇだろ。ど阿呆」
「な、なに!??」
話がうますぎる
俺の記憶喪失について知ってるやつは確かに少ないがいないわけじゃない。どういう経路で流れたかは知らねぇが、それを餌に俺を釣ろうとしやがって。ざけんな。何年もズタボロになりながら探してるものを、どこぞのバカの言葉で手に入れる気はねぇ。嘘の可能性ももちろんのこと高いし、たとえ本当だとしても……今は、行けない
「行かぬというか……そなたなら飛び付いてくると思うたのだがな」
「面を拝みにはいく。いつか、な」
そのときはっきりさせればいい。今でもその時でもそんなにかわらねぇ
「……不服そうだな、吸血鬼」
「うむ。妾の予想が外れてしまうとはな」
「俺を手駒にできると思ったのかよ。甘いねぇ」
「素直に認めよう。やれやれ、うまくいかぬものだ。そなたほど操りにくい男はおらぬわ」
「そりゃどーも」
「……して、どうするのだ?こんな軍の飛空挺で」
おお、忘れてた
情報収集だったな
「あー…………取引しようか、吸血鬼」
「言うと思うたわ」
あの知らせを聞いて、妾は心を踊らせた。
わかっておる。あの男は誰にも心を開かぬだろうに、目の前で妾が死のうが笑って見せるような男だ。知らせを伝えても、何かがおきることはない。妾には人の抱くような恋だの愛だの訳のわからぬ感情はないが、ヤツが喜べば妾も多少嬉しいのだ。長い付き合いのゆえに
「行くわけねぇだろ。ど阿呆」
やられた
この男が人伝に聞いた言葉を信じるわけがなかった。自らの目で見て、耳で聞いて、その頭で判断したことしか信じぬ男
やれやれ、甘かった
長く生きてきたのに、どうしてこいつはこんなにも思い通りにならぬ。不愉快だ。妾の体も顔も晒すだけで男は蟻のように寄ってくるというのに
「…………取引しようか、吸血鬼」
あぁ、言うと思うたわ。頼みでも、お願いでもなく、"取引"
そんなやり取りでしか、こやつは信じない。いや、信じてはない、か……納得しないというほうが正しいな
ほんとうに、不愉快で、つまらない
しかし面白い
底の知れない。わからぬ
そなたはその鋭さばかり光る目で、いったい何を考えているのだ?
「…………それで妾はここで何をすればよい?」
「情報収集。近頃狙われなすぎてな。軍部で何かあったのか、それとも単なる偶然か……。はっきりさせときたい。あと数日中の警備について」
ほう。確かにこ
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