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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
2.SES計画T
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の意味があるのだろうと思い巧はその視線を受け止めた。
「ふむ、鍛えているというのは本当のようだ。体幹がしっかりしている。しかし生き残るための教練というは難しいね。それを教えるために訓練校では多くの教官が苦心している。」
地上でBETA戦争が始まって十数年。最初期の急激な戦死者増加は収まったものの、世界人口はすでに50%近くに減り、衛士の死亡率も依然高いままだ。
「それに教えられることといっても多くはない。私は今年37になる。衛士としてはもう退役間近だが軍人だ。だから暇をもらって君を鍛えることができるんだが。しかし当然守秘義務もある。操縦技術やBETAの情報などと言った情報は教えられない。まあ訓練校入れば嫌でも教わることになるが。」
「ではいったい何を?」
「うん。まあ言ってしまえば身も蓋もない話だが、生きるも死ぬも君次第ということさ。教わるべきことは訓練校で教わる。私に出来ることといえば戦いというものを感じてもらうだけだ。」
「戦いを感じる…ですか?」
「そうだ。君は本当の意味での戦いをしたことがあるかい?それこそ命がけの戦いを。」
「いえ…ありません。」
巧は訓練の中でも戦闘訓練や、擬似的な軍事訓練をやってきたが、生死をかけた戦いなどはしたことがない。
「それはそうだろうね。でも私の経験上、訓練校でも自己鍛錬でも出来ないことといえば命をかけるほどの戦いを経験していることがBETAとの戦いで生き残る要点だと思っているよ。君は初陣の衛士の平均生存時間を知っているかな?」
「いえ…。」
(平均生存時間。聞きなれない言葉だ。そんな統計値が出されるほど戦場は過酷で、多くの死者が出るということか…。)
戦争は過酷なもの。幼く、まだ平和な帝国で暮らす巧にとって戦争とはどんなに頭を捻っても想像上のものでしかない。しかし、柳田の答えを聞いて巧は愕然とした。
「初陣の衛士の平均生存時間。これは訓練校でも習うだろうし、有名な話だが…八分だ。」


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