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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
2.SES計画T
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する必要があること。
SES計画がどこまで効果があるかは分らないが、巧としても仲良くしてくれた工場や研究室の人たちに路頭に迷ってほしくはない。
「俺にどこまでやれるは分らないけど頑張るよ。だから安心してくれていい。」
「巧……。」
十年前、SES計画を考えついた惣一郎は時がたつにつれて自分のやっていることが非情な行いだと気づいてきた。いかに追い詰められていたとはいえ、実の息子に厳しい訓練を課し、戦場に進んで送り出すなど親のすることではない。
しかし巧はそんなものにめげず健やかに成長し、その上自分の状況を理解し、会社や社員の今後について慮ってすらいる。時勢を見誤り、その後の立て直しもできなかった先代・金次郎や自分と違って、巧は本当の意味で天才だった。
(この子にすべてを託そう…。俺の持てるすべてを持ってこの子を支えよう。)
残り少ない息子との時間を過ごしながら惣一郎は誓ったのだった。

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翌日、巧は帝都の本宅から横浜の別宅に居を移し、その足で柳田家に向かった。
外様とはいえ武家の屋敷は大きい。まさに日本の御屋敷といった風な大きな柳田邸に巧は気圧されていた。
呼び鈴を鳴らすと対応に使用人が出てきた。
「本日より柳田様にお世話になる遠田巧です。ご挨拶に伺いました。」
「少々お待ちください。」
そう告げてしばらく、屋敷に上がる許可をもらい案内をされた。
「はじめまして。遠田巧です。今後お世話になります。」
「ああ、総一郎さんのところの子だよね?はじめまして。柳田和久です。」
柳田は和室の畳の上で正座をして巧を待っていた。
(何か迫力のある人だな…。)
柳田はその名前に反して体格が良く、大きな巌のような、静かだがその場にいる人間を引きつける雰囲気を纏っていた。
「まあ座りなさい。茶でも出そう。」
巧は言われるままに正面に正座した。
「さて、君の父親、惣一郎さんから聞いたけど、衛士になるための訓練を手伝ってほしいって話だったね?」
「はい。自分は幼少より訓練を積んできました。中学卒業後に軍に志願し訓練校に入りたいと思っています。衛士になるためには体を鍛えて学ぶだけでは足りないと父に言われました。」
「なるほど。惣一郎さんからある程度聞いているけど、かなり鍛えているらしいね。基礎的な訓練は今後も自分でやると聞いているけど本当かい?」
「はい。持久力、筋力と言った基本的な訓練についてはこれまで通り自分でやりたいと思っています。柳田様には衛士として生き残るための教練をしていただきたいと考えています。」
「生き残るための教練ですか…。」
柳田はそこで一口茶を啜ると目を見開いて巧を見詰めた。じっと見つめられて少し緊張したが、おそらく何か
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