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MUV-LUV/THE THIRD LEADER(旧題:遠田巧の挑戦)
2.SES計画T
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「分かってるって。でも柳田様のところで訓練を受けるとなると、他の訓練がお粗末になっちゃうと思うんだけど、どうするの?」
「うむ。そのことだがな、お前は昔からの訓練で既に基本的な能力は正規軍人と変わらないレベルに達しつつある。まだ成長期で体が出来ていないから力は足りていないし、銃器の扱いなどはまだ習っていないからまだまだ訓練が必要だが、少なくともお前の素養は相当なレベルに鍛えられているはずだ。だが衛士になるにはそれでは足らないんだ。」
「どういうこと?」
「衛士というのは狭き門だ。訓練兵の中で衛士に慣れる者は適正のある者だけ。その中で厳しい訓練を終えた者だけが衛士になることができる。しかしお前ならそこまでなら問題ないだろう。」
それは当然の事といえる。衛士適正の多くは健康か否か、三半規管や内臓の耐久力といった対G、揺れに対する肉体的制約によるものが多く、技量的な問題は二の次である。その点でいえば、幼少から衛士になるために様々な訓練を積んできた巧はすでに及第点に達している。そして訓練に関しては今後ますますその内容が濃くなるが、自己の限界に挑戦するというのは巧にとっての日常であって、訓練で脱落するということもないだろう。
「だが戦術機に乗って戦い、生き残るというのはまた別の次元の話なんだ。技術屋の父さんには良く分らないことなんだがな。優秀な衛士でもアッサリ死ぬこともあれば、落ちこぼれとも言える成績でもしぶとく生き残ことがある。……巧は何で父さんがお前に訓練を課しているのか分かるか?」
「昔聞いたよ。SES計画だっけ?要するに優秀な衛士になって、その計画を会社に役立てようってことでしょ?」
「そうだ。そのためにはまず衛士になって、その上で生き残らければならない。思えばお前にそんな重責を負わすのは心苦しくもあるのだが…。」
「いいよ。大体ニュースでもやってたけど、これから徴兵年齢が下がっていくんでしょ?どの道軍隊に入ることになるんだったら今のうちに準備してさっさと兵役終えた方がいいって。それに工場で働いてくれている人たちのためになるしね。正直戦争とか、生きる死ぬってのは良く分らないけど、自分の立場は分かっているつもりだよ。」
幼いころは何の疑問も抱かずにSES計画の訓練を受けていた巧だったが、流石にこの歳になると周りとの違いから疑問を抱いて、自分なりに情報を集めて状況を把握していた。
ニュースで聞くBETAとの戦争、そして工場見学や座学で学んだ戦術機という兵器とその開発状況。それらを統合すれば何となくだが現状は把握できる。下請け会社状態にある遠田技研は、戦術機―パーツの生産で潤っているものの、いつ吸収合併、または倒産してもおかしくない状況であるということ。そしてそれを覆す為に、身内から優秀な衛士を排出し、その功績と経験を持って戦術機の開発に参入
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